演劇「オアシスクリーニング屋襲撃事件」を観る

3年間で1600回、15万人の観客を笑いの渦に巻き込んだという演劇「オアシスクリーニング屋襲撃事件」を観た。
知り合いに誘われて、妻と一緒に観てきたのだが、最初は題名さえも知らずについてきて、大学路の町の少しはずれにある劇場に連れて行かれた。「こんなビルに何があるのか…」と思っていたが、劇場のある3階に上がると、すでに演劇の雰囲気がつくられていた。
私自身、演劇を観るのは本当に久しぶりだ。そして大学路で子供向けでない演劇を観るのは2回目、9年ぶり…。前回に観たものはあまりにもつまらないものだったが、その悪夢が薄れてきてはいた。
狭い席に座って、目の前で繰り広げられるドラマに期待した。
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舞台は昔ながらのどこにでもあるクリーニング屋「オアシス洗濯所」。
店内で、何人もの人が体のあちこちに包帯を巻いて、クリーニング屋の主人に抗議をしている。「治療費を出せ!」、「責任を負え!」というプラカードを持って。どうやら主人がこの人たちを「襲撃」したようだ。正直を絵に描いたような主人に何が起こったのか…。

クリーニング屋で起こりうる、様々な出来事をリアルに描きながら、笑いと感動を引き起こし、韓国社会に対する問題提起をする。そして、その社会問題を「洗濯」するのだ。2時間、泣き笑いして、最後には自分も洗濯されたような爽快感に包まれた。
そして、なんといってもこの演劇の魅力は俳優たちの演技力。「こういうおじちゃん、おばちゃんっているよね」的な人を誇張して描きながらも、その人が本当に目の前にいるような感覚にまで陥る。ある意味、誇張はしていないのかも知れない。韓国人の生活、言動は、演技をしているかのようにオーバーに見えるからだ。そういう意味で、韓国での生活は笑いに満ちているといってもいいかもしれない。
それをよく再現しつつ、最後には奇想天外であり、さわやかなフィナーレを迎える。
帰りの地下鉄の中で、演劇の話と笑いがつきなかった。

で、私も演劇をやってみたくなって役者になったふりをしてみた。
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# by matchino | 2009-01-10 20:18 | Comments(2)

とうとう観た!

とうとう『崖の上のポニョ』を観た。
面白かった!
正直なところ、「これは何を意味してるんだろう?」とか、「これはどうなってんの?」という箇所は多かった。観た人から聞いていた、「感動した」とか「涙を流した」ということもなかった。
でも…すごい! というのが感想だ。

途中からの展開は、「何が起こったんだろう」という感じだ。でも、描いたら膨大な内容になるであろうそういうことを、「時間の関係で」省いたのか、わざと描かなかったのかは分からないけれど、削りまくった潔さに感服した。そして、分からないままでも観る者を納得させる力がある。
『もののけ姫』も、説明不足な部分が多かったが、あの作品はストーリーや世界観を理解しようという方に神経が行き、ストレスばかりが残ったが、『ポニョ』については、「そのようなことはまあ、どうでもいい」と思わせる魅力があった。

また、一つひとつのエピソードに込められている「意味」みたいなものはたくさんあるんだろうし、ブログなどにあがっている評論を見てみると、なるほどと思わせるような「謎解き」が見られた。そういった「考えさえる力」も持っているし、この映画一つを持って何時間も語り合えそうだ。それでいて、それについて考えなくても楽しめる、不思議な力を感じる。

そして、なんといっても描写がすばらしい!
スタジオ・ジブリのプロデューサーである鈴木敏夫氏のポッドキャスト『ジブリ汗まみれ』の最初の頃、題名を考えるところで「汗まみれ」というのがジブリをよく表す言葉だといっていたが、まさにそうだなあと感じた。
また、ジブリの独壇場である空を飛ぶ描写が、海の中にも再現されていた。

とにかく、今回は宮崎駿という人の姿をかいま見せられた。『ジブリ汗まみれ』で言及されている宮崎監督はそうとうな変人だが、その変人の中にある世界を思う存分描き出したのではないだろうか。でも、その変人の中にある理解不能な世界は、理性では分からないけれど、感覚では万民の心に響かせている。それが宮崎駿という人の恐ろしいところだと思うのだ。
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# by matchino | 2009-01-04 21:07 | Comments(0)

年越しの音楽とか

日本で年越し行事が盛大に行われている中で、韓国では、それほど年越しの雰囲気が感じられない。1月2日、すでに出勤だし。
知り合いの所(韓国人)は、三が日(韓国ではそういう言葉はないけど)は休みだというけれど、それもたぶん、不景気のせいだ。
ニューイヤーコンサートでも行きたいところだけれど、とりあえず、iPodの年越しについて…。出退勤の音楽のお話。

2008年の締めの退勤の音楽は、ショパンのピアノ協奏曲1番にした。ピアノはユンディ・リ。
でも、第1楽章で家に着いてしまったため、そこで終わり。
それで、2009年の最初の出勤が第2楽章で始まった。
なかなかいい年越しだったと思う。
その時点で到着していなかったので、その次は…と選ぶと、何となく、ベートーベンの第九が目に入って聴いてみた。
って、これ、日本では年末の定番だよなーと、聞き終わってから思った。

1990年を迎えた年越しのことを思い出した。
あの時は、音楽と、最初に見るものにこだわった。
その時に気に入っていたStone Rosesを聞きながら、その頃、当時の最高額で落札されたピカソの青の時代の名作『ピエレットの婚礼』を見ながら迎えた。
あの時が年越しに対して一番こだわった。
といっても、その程度だけれど。
でも、その年に最大の人生の転機を迎えることになるとは…。
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      ピエレットの婚礼

今年はどんな面白いことが待っているだろう!
というわけで、皆様、今年もどうぞよろしく!
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# by matchino | 2009-01-02 16:15 | Comments(0)

『わたしの美術遊園地』を読む

e0160774_14243732.jpgイラストレーターの山本容子さん著『わたしの美術遊園地』を読んだ。
山本容子さんの幼少時代からの自伝や、新聞、雑誌に掲載されたエッセイを集めたもの。本人は文章を書くのが苦手といっているが、詩的なイラストから想像されるように、詩のような文章を書く人だなというのが私の感想。
前に読んだ堀内誠さんの自伝と同じく、山本さんの仕事に対する、というか絵に対する情熱が伝わってくる。才能もあるだろうけれど、その才能というものは、それに対する愛情、情熱という部分が多いんだろうなあと思わせる。
そして、この「美術遊園地」という言葉は山本さんの絵から受けるイメージそのものだ。
…と思っていたら、実は「美術遊園地」というのは、山本さん自身がつくりたいと計画しているものだという。世界のアーティストたちが集まって移動遊園地をデザインしたら素敵だろうなというもの。遊園地で遊びながら、同時に美術作品を鑑賞できるのだ。待ち時間もぜんぜん退屈じゃないはずだ。
このアイデアには私も大賛成!
で、考えてみると、遊園地やおもちゃって、芸術品的な要素が強いと思う。
「用」ということを考えてみると、芸術品もおもちゃも、生活的な「用」がない。純粋に「楽しみ」のためのものという点が似ていると思う。だから、「芸術」と「遊園地」の融合ってのは、けっこうありじゃないかなあ。あるいはそう思う人が少ないんだろうか。たしかに「遊園地は子供のもの」という概念が強い人もいるかもなあ。そういう人の意識を変えるためにも、遊園地のデザインのレベルアップは必要だと思うのだ。
でも、昔ながらの質の低い(?)遊園地も、ある意味、キッチュな美があるし、それも捨てがたいよなあ。
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# by matchino | 2008-12-28 14:25 | Comments(0)

フランス国立ポンピドゥーセンター特別展

ソウル市立美術館での「フランス国立ポンピドゥーセンター特別展」に行ってきた。
ポンピドゥーセンターについては知らなかったけれど、世界3大美術館の一つだという。そういう宣伝のせいか、クリスマスのせいか、たくさんの人が来ていた。
で、内容はといえば、マティス、ミロ、シャガール、レジェ、ブラックなど、20世紀を代表する画家の作品。「アルカディア - 天国のイメージ」という主題を中心に展示がなされ、それを追っていくだけでも興味深そうな内容だった。オーディオ・ガイドでも聴けばよかったかもしれないが、今回は、何人かで一緒に来ていたため、時間がなかった。

それでも、気に入った絵がいくつかあった。マルシャル・レイスの『雲の友』というシュールリアリズム的な絵画、マティスの切り絵など。そして、ブラックの女性を描いた作品は、今までのブラックの絵では見たことのないタッチで興味深かった。

それにしても、今回感じたのは、年を取れば取るほど、絵画に込められた画家の心が伝わってくるようになってきたということ。絵を見ながら画家と対話をしているようだ。そして、一つひとつの線に感動し、めまいを覚えるほどになる。
様々な人生経験をしてくる中で、深く共感するところが大きくなってきたのだろうか。
そうして絵を見ていくと、何十分でもその絵を見ていたいような衝動に駆られる。
また、絵を見ていながら自分との対話の世界に入ってくる。絵を見ることは、瞑想や祈祷に似た一種の自己省察だ。
いくつかの作品を、いすにゆったりと座りながらじっくり鑑賞できる、そういう美術館があったらいいかもしれないと思った。
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# by matchino | 2008-12-24 20:12 | 展覧会 | Comments(3)