京畿道の「町の遺産」というプロジェクトがある。 町の遺産として大事にしていきたい物件を提案するものらしい。 そのサイトに上がっていた写真がとても気になった。 切妻屋根の聖堂で、真っ白な壁の上には「天主堂」と漢字で書かれている。 その姿が美しかったので、訪ねてみたいと思ったのだが、 写真のキャプションも何もない。 どこなんだここは! それでも、どうにかこうにか探し出し、 龍仁にある聖堂だということが分かった。 (どうやって探し出したのかまったく憶えていない…) ここの名前は隠里聖地(ウニソンジ)。 龍仁の山の中にあり、 韓国で最初の司祭となった金大建神父に関連しているらしい。 とても写真映えするところなので、 検索するとカトリックの信徒だけでなく、 たくさんの人たちが訪ねているようだった。 私も行ってみようと行き方を調べてみると、 ソウル南部ターミナルからバスに乗って「ヤンジ」という停留所まで行った後、 84番のマウルバスに乗ればいいようだ。 でも、バスの本数が2時間に1本。 歩くと35分ということで、そのくらいならと歩くことにした。 小さな町の停留所で降りて、 夏の日差しの中を黙々と歩く。 だんだんと山の中に入っていき、 小さな田舎の工場が点々と建てられた道を上っていく。 そして見えたのが、「隠里聖地」の石碑。 その向こうに白亜の聖堂がたたずんでいた。 芝生と山の緑と青い空の中で壁の白さがまぶしい。 白い壁の上にはグレーの瓦が載っており、折衷様式のようだが、 江華島で見たような韓屋スタイルの聖堂とも違う、 韓国ではなかなか見かけないスタイルだ。 中に入ってみると、木の柱と屋根の垂木が見える。 壁の白と木の色が調和して美しい。 聖堂の隣には「金大建記念館」があり、 金大建の生涯とこの場所の由来が綴られていた。 龍仁の山の中にあるここ、隠里(ウニ)は その名のごとく朝鮮時代から隠里として知られていた。 カトリック信者たちが政府の目を逃れて生活しながら 宣教活動を行なっていた場所だという。 そして、金大建はここで洗礼を受け、 神学生として選ばれた。 その後、中国に渡り、教育を受けて司祭となって帰国し、 宣教活動を行なったが、その主な舞台となったのがこの隠里だった。 やがて金大建神父は政府によって捕らえられ、 1846年、丙午迫害の時にセナムトで処刑されたが、 捕らえられる前の最後の正式なミサが行われたのも隠里だという。 ここにある聖堂の建物は、 金大建神父が司祭に任命された上海の金家巷聖堂が解体された時、 木材などを保管しておいて韓国に運び、それらを使って復元したものだという。 ということは、この聖堂は中国の建築様式なんだろうか。 11時になった。 11時からは、月曜日を除いて毎日ミサが行われている。 そおっと聖堂の中に入ってみた。 近くに集落があるわけでもないのに、 車でここまで来ているらしい信徒が20人ほどいた。 決まった祈りの文句を唱え、賛美歌を歌う。 オルガンでもあるのではないかと期待したが、楽器の伴奏はなかった。 しかし、信徒たちの歌声が荘厳に響いた。 カトリックの信者にとっては意味深い場所だろう。 暑い中を歩いてわざわざ訪ねることはないかもしれないが、 車で立ち寄ってみるにはいいところかもしれない。
by matchino
| 2019-08-14 12:27
| 京畿道
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