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感激の訪問! 駐韓アメリカ大使官邸


実のところ、それほど訪ねる価値があるとは思っていなかった。
駐韓アメリカ大使官邸の話だ。
でも、行って本当によかった。こんな貴重な機会が与えられるなんて!

アメリカ大使官邸があるのは、朝鮮時代末期に西欧諸国の公使館や領事館が多く建てられた地域である貞洞。
1882年に米韓修好条約が締結された後に公使館が設置された場所で、大使館は移転したが、大使官邸としてこの場所を使っている。
普段は高い塀に遮られ、警備員が常駐しているため、門の写真さえ撮ることができない場所だが、その鉄の門が開いた!

名簿のチェックをした後、どうしたらいいのかなとうろうろしていると、向こうから体格のよいアメリカ人が歩いてきた。なんとマーク・ナッパー代理大使!自ら案内してくださるなんて!
英語ができないのでどぎまぎしていると、流暢な日本語で挨拶。日本語も韓国語もベラベラなのだとか。とてもフレンドリーで、一気に好感がわいた。

門から入ってすぐのところにある旧・公使館の韓屋の脇を抜けて、その裏にある大使官邸のメインの建物であるハビブハウスへ。
韓屋様式ではありながら、相当な規模に驚いた。天井が高いだけでなく、奥行きもけっこうあって、家というよりは宮の建物のような印象を受けた。

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ハビブハウスが建てられたのは1974年のこと。それまでは、かつてこの土地を所有していた閔氏の家門の韓屋を何度も修理、改修して使っていたが、これ以上は修理が難しい状況になったため、建て直したのだ。
朝鮮時代末期、韓国に最初に建てられた西欧諸国の公使館や領事館は、アメリカ以外の国は西洋式の公館を建てたが、アメリカだけは韓屋をそのまま使ったのだ。そして、大使官邸を建て直すとき、当時のハビブ大使はアメリカ国務省の反対を押して韓屋スタイルの大使官邸を建てた。当時はハビブハウスという名称ではなかったが、後にグレッグ大使の働きかけによって「ハビブハウス」と呼ばれるようになったという。

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官邸の前の芝生広場で記念撮影をした後、いよいよハビブハウスの中へ。
ハビブハウスの平面はロの字型になっており、手前はレセプションホール、奥は大使の居住空間となっている。

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まず、レセプションホールの気持ちのよい空間。正面中央の煙突にはレンガでつくった装飾がある。これは「寧」の字で、もとの大使官邸の壁にあったものをそのまま復元したものだという。そういう昔のものを大事にする姿勢がいいな。
それにしても広い空間だ。建築に関する解説をしていただこうと呼んだ大学講師の先生によると、コンクリートで建てているために、中間に柱もなくこの広さが可能だというのだ。

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「韓屋の最高の職人の技術とアメリカの最新の建築技術が出会った建築」とハビブハウスについての話を聞いていたが、構造的には最新の建築技術、そして意匠的には韓屋を再現したということなのだろう。

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SNSに大使官邸の写真を上げると、ある韓国の建築家は、ハビブハウスを訪問したときに大きなインスピレーションを受けたというコメントを残してくれた。

その内容は、
  1. 韓屋は、手を伸ばせば両方の壁に届くような人間的なスケールの建築である必要はない。
  2. 韓屋の形式の中に現代の内容を入れることができる。
  3. 重要なのは韓屋の価値であって、韓屋それ自体ではない。
  4. 韓国人が韓屋をどう扱っていくべきか悩んでいる間にアメリカ人に先を越された。T T
とのことだった。

確かに、この官邸は「韓屋の表層だけを真似た」建築ではない。これはまさに韓屋であり、韓屋の美しさを感じる建物だ。
本当に美しく、ここちよい空間だった。

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韓国戦争の最中、北の軍にソウルが占領された後、仁川上陸作戦によってソウルを奪還したが、その時にアメリカ公使館を取り戻したときの記念すべき写真。

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大統領のためのベッドルーム。


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貴賓のためのベッドルーム。広くはないが、ベッドといい、部屋を囲む窓といい、ここで一晩でいいから泊まってみたいという素晴らしい空間。


もう一つ、もともと公使館の建物として使われ、現在は迎賓館として使われている韓屋を見学した。
こちらは19世紀に建てられたもので、これまで何度も改築をしてきたものだ。やはりアメリカ人の生活には不便なものだったわけだ。それでも天井の高さなどはそのまま維持されている。

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私たちがあちらこちらの部屋を見ているうちに、建築の先生は木材を一つひとつ見ていた。
「2004年に大々的な解体・修復作業を行ったと聞いたので、昔の木材がないかと見ていたんですが、ぜんぶ新しいものですね」と先生。
もともとの形式そのままに新しく建て直したというわけだ。

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その他にも、昔の写真と比較してみると、部屋自体を拡張していたり、縁側のような外に面した空間にガラス窓をつけて内部空間にしたり、軒を支える柱がなくなっていたりと、これまで行われた改修の内容が分かって面白い。そして、昔は柱を支えていた基台の石が残っているのも確認できた。

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私たちに与えられた時間は1時間。訪ねる前は「1時間も持つだろうか」と思ったが、あまりの心地よさに、官邸から出るのが惜しいほどだった。
何よりも、招待してくださった代理大使と、この訪問を実現してくださった皆さんに感謝したい。


おまけ
一緒に訪問した方たちが、それぞれのメディアに書いた訪問記




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by matchino | 2018-07-01 20:40 | 建築 | Comments(0)
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