清潭洞にあるアラリオギャラリーで行われている名和晃平の個展を見に行ってきた。
ギャラリーに入ると、まず、鏡のように光る女性の像が立っている。その半分は波打つ形に変形しているけれど。その後ろには、同じように人を象った波打つ形が様々な素材で作られている。 素材は何かの樹脂のようだが、その形があまりにも滑らかで、どうやって作ったのか気になる。 その隣の部屋は、入った途端、4頭(?)のシカがこちらを見ている。「4頭(?)」とハテナ付きで書いたのは、そのうち2頭は合体して1頭になっているからだ。 で、そのシカは透明な大小様々な大きさのビーズに覆われている。光の屈折によってシカの表面はよく見えないが、大きなビーズを通して見ると、中にあるのはシカの剥製らしい。 透明なビーズが美しく、どうやって作られているのだろうかと不思議になる。また、胴体が重なって頭が二つ、脚が8本になっているが、どうやってつなげているのだろうか。 後の2頭は壁にかけられているが、大小のビーズの配置がまったく同じだ。 美しく、すごく存在感のあるオブジェではあるけれど、何を意味するものなんだろうか。 次に2階に上がった。暗くなっており、壁も真っ黒に塗られている。どこからか、水の音が聞こえてくる。 真っ暗な部屋に入ってみると、床に二つの長方形の池があった。池は白く光っており、ポコポコと小さな音を立てながら、無数の泡ができてははじけている。 泡は格子状に発生している。石鹸の泡のように若干の粘性があり、不思議な質感を持っている。その光景はあまりにも美しくて、不思議だ。 その隣の池は泡が斜めの格子状になっており、二つの池が対になっているのが分かる。 その次の部屋は壁が白く、その真ん中に、二つの透明な箱が置かれている。 その箱は、何層にも重なった透明な板でできており、その上には半透明の点が格子状に並んでいる。 上から見ると、その点が幾何学的な模様を作り出す。見る角度によってその模様は変わる。 ずっと見ていると、霧に包まれた山の頂上から下を見ているような感覚になってくる。 今回は、これらの4種類の作品が展示されていた。 無機質でありながら自然を感じさせられるような不思議な感覚だ。 ギャラリーで配られているチラシの説明によると、シカを覆っていたのは「PixCell」というものだという。 「PixCell」とは「ピクセル(pixel)」と「細胞(cell)」を合わせた造語だという。 デジタルの時代となって、すべてのものが「PixCell」で覆われるようになったということだろうか。 シカも「PixCell」で覆われていたし、休みなく生じては消えていく泡も「PixCell」となっおり、透明な板の上に置かれた「PixCell」がさまざまな模様を描き出している。 それがコンピュータのモニター上に描き出されたものよりも無機質な形であるにもかかわらず、かえって実体を感じさせるのはなぜなのだろう。 それは素材のためではないだろうかと思う。すべての作品で、素材に対するこだわりが感じられるからだ。 また、彼の他の作品を知らないので分からないが、今回の 作品だけを見ても「双」の概念がよく使われている。 「双」は何を意味しているのだろうか。コンピュータにおけるコピーや生物学におけるクローンを意味しているのだろうか。 しかしそれぞれが格子状の配列と、斜めの格子状の配列になっており、単なる「コピー」でないところが興味深いところだ。 あと、なぜシカなのかはよく分からなかったが、斜めの格子模様を何というのか調べてみると「鹿の子(かのこ)」というらしい。 それを意図していたのだろうか? 今回の展示は点数は少なかったけれど、中身の濃い展示だった。 ソウルの川の北側での展示も種類が豊富でいいけれど、南側での展示の方が厳選されたアーティストの展示が多い。 その分書くことも多くなってくる。
by matchino
| 2012-11-01 20:27
| 展覧会
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Comments(2)
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isa-ric at 2012-11-17 12:05
前に雑誌か何かでこの人の作品を見たことがあります!
韓国でも個展をされているのですね! 2月に韓国に行こうか?って話したら 寒いよ!!!とすぐに返答されてしまいました。 寒さも含めた韓国を体感してみたかったんだけどなぁ・・・
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matchino at 2012-11-19 13:17
東京都現代美術館で最年少で個展を開いた作家みたいですね。
日本で話題になった作家は結構韓国でも注目されているみたいです。 2月は確かに寒いですけどね。。。 でも、おっしゃるとおり、すごい寒さって、体験してみるのもいいですよね。 それから、外は寒くても、部屋が暖かいのが韓国ですから、そんなに不便さは感じないと思いますしね。 ぜひ、冬の韓国に来てみてください!
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