世界のメディアアートを紹介する、第7回ソウル国際メディアアートビエンナーレが行われている。今回のテーマは「Spell on You(お前に呪文をかける)」。人間の欲望を超越的な力によって成し遂げるメディアを魔法の呪文に見たてたのだ。しかし、魔法がまやかしであるように、メディアも人間関係に様々な欲望をもたらしてはくれるものの、その逆に様々な問題も与えられている。そのような状況を表現した作品たちだった。
興味深い作品が多かったが、気になった作品を紹介しよう。 まず、Till Nowakの「遠心力体験」というビデオ作品。観覧車のゴンドラが上がっていく。その先は…巨大な輪がさらに天高くつながって、ゴンドラは数百メートルの高さまで登っていく! さらに、遊園地のほかのアトラクションが、あり得ないような速度と複雑な動きでグルングルンと回っている! 見ているとCGだということはわかって来るのだけど、あまりの激しさに笑えてくる。 そしてこの動画に出てくるアトラクションの図面まで展示されている。 後で検索してみると、CGでさまざまな映像を制作しているアーティストらしい。最近はCGで何でもできる感があるが、アイデアと造形力が重要になってくると思う。どんなに本物のようにつくられたCGであったとしても、「CGだとなんでもありだよね」と思われて終わってしまうからだ。 もう一つ気になったのが、クワクボリョウタの「10番目の感傷(点・線・面)」という作品。日本でも賞を取った作品らしい。 10m四方ほどの部屋にNゲージの汽車がゆっくりと走っている。そのレールの周りには日常生活で使われている雑貨が置かれているが、汽車に電球が取り付けられていて、レールの周りに置かれた雑貨の影が影絵のように壁に映しだされる。その形の美しいこと! 目の前で走っている汽車に自分が乗って窓の外を眺めているような感覚になってくる。 100均で買ってきたようなものたちだというが、鉛筆や積み木はビルディングに、ゴミ箱は発電所の冷却答に、時計の針はクレーンのようだ。そして最後のクライマックス、ざるの中を通り抜ける時はドーム型の建物を通り抜けていくような情景がドラマチックに展開する。 YouTubeで紹介されているのでぜひ見て欲しいが、その場で見た時の感動は動画では味わえないだろう。 この他にも興味深い作品は多かったが、インタラクティブな作品は故障していたものもいくつかあり、それがけっこう面白そうだったので、少し残念だ。 展示は11月4日まででもう少し時間があるので、仕事の帰りにでも寄ってみるか。
by matchino
| 2012-10-23 22:17
| 展覧会
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