大晦日に国立現代美術館で開かれている韓国・豪州現代美術展「TELL ME TELL ME」を見てきた。
寒さのせいか、美術館のある果川のソウル大公園には人は少なかったが、最近の美術に関する関心を反映してか、いつもと変わらない人が美術館を訪れていた。 今回の展示は、韓国とオーストラリアの修交50周年を記念して、政府次元の文化交流事業としてのもの。美術における両国の交流は1976年のシドニービエンナーレ以来というが、これからの両国の交流を目指すためのものとして企画された。 76年の展示のころから今まで受け継がれている「美術」ということに対する様々な思考や試みを代弁するような作品が集められており、「美術とは何か」ということについて、いろいろと考えさせるような展示だった。 で、今回、印象に残ったのは、まず、TV Mooreという作家。 『ネッド・プロジェクト』という作品は、3年間ににわたって準備された6つのビデオによるインスタレーション。オーストラリアの二人の伝説的な犯罪者の生涯と行動を再構成したもの。少し病的な映像ではあるが、真ん中に鏡を置いてできるようなシンメトリーの映像で、美しい絵画のように感じられる作品だった。 その他に、チャーリー・ソーフォーという作家が気になった。 寿命になった蛍光灯がちかちかするのに合わせて音を入れた映像作品や、ドラムのスティックで家の回りのフェンスを歩きながらカタカタと叩いていく映像作品などは、単純ながらも鑑賞する人に共感を与えるような作品だ。 『Balls』という作品は、色紙やコピー用紙、ポストイットなどの紙製品を溶かして小さな玉をつくって並べた作品。映像作品にしろ、インスタレーションにしろ、日常的な事物を使って作品にすることが多い作家らしい。 韓国の作家では、イ・スギョンという作家が気になった。 大きなキャンバスに赤い絵の具で線画が描かれている。繊細で不思議なタッチの絵は、仏教画のようにも見える。もう一つの作品は、大小の陶器のかけらをつなぎ合わせて、大きな一つのオブジェとして再構成したもの。絵画作品にしろ、オブジェにしろ、この作家の造形力の高さが強く感じられた。 今回はドーセントやオーディオガイドの説明が聴けなかったのが残念だが、力のある作品に出会えたのはよかった。 見終わってから、子どもにねだられて、公園の湖を越えるリフトに乗ることになった。この寒いのにわざわざリフトに乗る人なんてほとんどいない。でも、凍って雪が積もった湖を見渡して、気分がよかった。 2011年はいろいろとたいへんな年だったけれど、今年はきっといい年になると信じたい。皆さん、どうぞよろしく!
by matchino
| 2012-01-01 20:10
| 展覧会
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