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ベニスビエンナーレ建築展の帰国展「韓半島 烏瞰図」

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久しぶりの美術館観覧。最近は街歩きに忙しくてなかなか美術館に行けてなかったけれど、今回の展示はぜひ観たいと思っていたもの。実は展示のことを忘れていて、この前知り合いになった韓国ナショナルトラストのチェ・ホジンさんが誘ってくれて、最終日になんとか間に合った。

今回の展示のテーマは「韓半島 烏瞰図」。昨年、ベニスビエンナーレの建築展で韓国館が金獅子賞を受賞したが、その帰国展示だった。展示の内容は北朝鮮と韓国の建築。というより、韓半島の建築というべきか。なぜかというと、100年間の建築についての展示なのだが、今から100年前は分断されていなかったからだ。しかし、その後分断されてしまうことによって、北と南で建築の様式も別れていくようになり、そんな対比も見ることができる機会だった。

この日は最終日というだけでなく、もう一つのイベントがあった。韓国館のコミッショナーとなった建築家のチョ・ミンソク氏が展示の解説をしてくれるというのだ。北との共同展示を行うという壮大な「プランA」を企画しながらも、北との接触自体が簡単ではない中でそれが霧散となり、準備していた「プランB」を行うことになったことなど、展示が完成するまでの15ヶ月の苦労を話してくれた。
プランAは霧散になったとはいえ、北の資料もたくさんあり、テーマの選定だけでも興味深いところに実質的な資料の規模も兼ね備えて、金獅子賞を受賞した訳が分かったような気がした。

展示内容を紹介しよう。

今回の展示のポスター。
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展示のテーマは「韓半島 烏瞰図(オガムド)」。鳥瞰図(ちょうかんず)ではなくて、「鳥(チョ)」の字が「烏(オ)」になっているが、これは1910年生まれの天才詩人・李箱(イサン)の詩「烏瞰図(オガムド)」からとったもの。当時の新聞に連載されながらも難解すぎて読者からの批判もあって連載が中断されたという。

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展示の最初に書いてあった李箱の詩「烏瞰図」の一編。ビジュアル的にも今回のポスターのモチーフになっている。また、上下が対称になっているのも今の韓半島の姿のようだ。
李箱はもとは建築を専攻しており、天才的な実力を発揮していたという。そういった意味でも今回の展示のテーマとして持ってきたのは面白い。

今回の展示に関わった人たちは全世界に散らばっているということで、擬似万国旗をつくって外に掲げていた。
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南を代表する建築家として金寿根(キム・スグン)氏の作品がたくさん展示されていた。
真ん中にあった世運商街の模型。
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ソウルの南北を横切る住商複合アパートをつくる壮大なプロジェクトだが、金寿根氏の手を離れて当初の計画通りには建てられず、実際にも街を荒廃させる原因となってしまって失敗したプロジェクトとなってしまった。一部は取り壊されたが、最近、建築家の承孝相(スン・ヒョサン)氏が中心となって新しく生まれ変わるらしい。
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この模型の上に掲げられた写真は、左がソウルの街で、右が「北の金寿根」といわれる建築家キム・ジョンヒ氏の作品。

金寿根氏が設計した建築。
このブログでも何回か紹介したウォーカーヒルのヒルトップ・バー。今は下がふさがれているけれど、建てた当時は開いてたんだな。こうしてこそ本当にW型なのに。
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金寿根氏によるポンピドゥーセンター案。結局はレンゾ・ピアノが勝ち取ったけれど、金寿根氏も出してたんだな。
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空間社屋(上)と京東教会(下)。京東教会は、今は天井がふさがれているけれど、建設当時はこんなふうに開いてたんだな。
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そしてこちらは北の建築。
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まさにモダニズム。誘ってくれたチェ・ホジンさんの話によると、モダニズム建築の礎を築いたル・コルビジェは社会主義者で、モダニズム建築と北朝鮮とは相性がいいとのこと。
ここにある写真は外国人が撮ったもので、すべての建物が「設計者:未詳」となっていた。解説によると、北の建物は皆、設計が金正日となっているんだという。金正日はさまざまな技術を持った人だともいわれているだとか。もっとも優秀な労働者として偶像化されているんだろうか。

ここはDMZについての展示。
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板門店を北と南から撮った写真が並べられている。お互いに数十メートルしか離れていないが、この2枚の写真を撮るためには1000キロ以上を回ってこなければならないという現実がある。

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DMZのジオラマ。
軍事施設が配置されていたり、地中には兵士たちの白骨が埋まっていたり、空には対北ビラの風船が飛んでいたりするけれど、民間人統制地域であるため、手つかずの自然が残っているという皮肉な事実がある。

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DMZを真ん中に置いた北と南の各機関の関連図。これだけよく調べたもんだな。
日本の朝総連はどこに通じているのかたどってみると、朝鮮労働党に直結していた。

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DMZをテーマにしたナム・ジョン・パイクの作品。
「DMZをトラ農園にしよう」と。
「トラ」という発想はパイクだからか、時代的なものか…?

北の人にストーリーと絵を依頼して制作した建築マンガ。
女流建築家の主人公が設計に悩んだ末に紅葉の葉からインスピレーションを受けて傑作を設計し、コンペを勝ち取るというストーリー。
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劇画タッチの画風から韓服(北では朝鮮服というのか?)を着た主人公、女性の社会進出、建築に対する哲学など、いろいろな要素を盛り込んでいて、南の立場から見ても興味深い部分が多い。
写真は撮り損ねたが、次の部屋に展示されていた建築に関する北の絵画には、建設現場に女性の姿があった。まあ、それが共産主義の理想として描いているだけなのか、実際に男女平等がなされているのかは分からないけれど、理想だけなんじゃないだろうかといのが私の推測。

このほかにも南北の専門家による解説の動画があったりと、興味深い資料がたくさんあった。特に動画には、チョ・ミンソク建築家が「近現代建築史の歩く百科事典」と評していた、今回のキュレーターの一人であるアン・チャンモ氏の解説もあり、見られなかったのは残念だ。

この展示、アメリカから招請されて展示を行うという。

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by matchino | 2015-05-21 22:44 | 展覧会 | Comments(0)

再び江華島へ その1 聖公会温水里聖堂

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子どもの日、家族で江華島へ。…行くはずだったが、次女が「なんで勝手に行くところを決めちゃうの!」と怒りだして不参加。妹を一人家に残しておけないと、長女も不参加。下の2人だけを連れて行くことになった。上の2人は難しい年頃になってきたなあ…。

今回の目的地は、聖公会の温水里聖堂と、伝燈寺。江華島のバスターミナルから南へ30分ほど下ったところにある。家から江華島のバスターミナルまでも3時間なので、けっこうな長旅。
さて、江華島のバスターミナルの案内所で訊いてみると、10分後に出る51番のバスに乗ったらいいとのことだった。
51番のバスはソウルでいうマウルバスのように小さなバスだった。バスは江華島の田舎道を猛スピードで走っていく。アナウンスも付けない昔懐かしいぶっきらぼうなバスだ。バス自体はけっこう新しいのだけれど、小さいし、道も悪いのでけっこう揺れる。息子は「吐きそうだ」とか言っていた。^^;
アナウンスがないので、どこで降りていいかも分からない。運転手に聖公会の聖堂に行きたい旨を伝えると、伝わったのか伝わらなかったかも分からない返事。その様子を見ていた乗客の一人が「あの赤い屋根が聖堂ですよ。次で降りて」と教えてくれた。
食堂などが並ぶ田舎道の停留所で降り、赤い屋根を目指す。聖堂は道から少し入ったところにあった。

温水里聖堂は1906年に建てられた聖堂だが、この赤い屋根の聖堂は新しく建てられたもの。ロマネスク様式といい、赤い屋根といい、突起部の韓屋式の屋根といい、貞洞の聖公会聖堂を意識していることが分かる。
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そしてその隣にある、韓屋の建物が目当ての聖堂だ。宣教師のトロロープ主教が建てたもので、聖公会の思想のごとく、現地の文化を尊重して韓屋式となっている。
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前回訪ねた江華邑聖堂が五方色で彩色されているのとは違い、ここは木の色をそのまま残している。
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真ん中が高くなっている門は鐘楼を兼ねている。
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聖堂の横には芝生が敷かれており、とても気持ちのよい場所だ。
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惜しくも中に入れなかったので、また来て中を見たいな。
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天気もいいし、最高!
敷地内には幼稚園もあって、縄跳びや投壺(矢を投げ入れて壺に入れる韓国伝統の遊び)が置いてあり、子供たちはそれで遊んでいた。
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隣には主教館。これも美しい韓屋。
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次は伝燈寺へ向かう。すぐ近くなので、歩いてみた。
いい感じの建物がたくさんある。
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聖堂の近くにあったこの建物も、壁の一部に十字架の模様が残っており、聖堂に関連する建物であったことが推測できる。ベランダの形が独特で、時代を感じさせる。
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偶然見つけた江華温水醸造所。1924年に建てられたという醸造所で、使われていないのかと思ったら現役の醸造所らしい。中を見たいなーと思っていたら、実は前回参加した仁川のファムツアーで、私が参加した次の日に行ってきたとのこと。その時の写真を見せてくれて、もっと行きたくなった。
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さて、まもなく到着した伝燈寺は、江華島を代表する観光地なだけあって本当にいいところだった。
江華島の旅は次回へつづく!

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by matchino | 2015-05-09 20:28 | 建築 | Comments(1)