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延世大学ルースチャペル

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建築家のソ・ヒョン教授の本「建築、音楽のように聴き、美術のように観る」を読んでいて出てきた延世大学のルースチャペル。
巨大な長方形の屋根が突き出している姿がかっこよくて、ぜひ見に行きたいと思っていると、ハンギョレ新聞社の建築専門記者のク・ボンジュン記者のルースチャペルの記事がネイバーに上がっていて、「これは見るべきだという信号だ」と思い、子供を負ぶって行ってきた。

地下鉄新村駅で降り、延世大学のキャンパスへ向かう。子供を負ぶって行ったら門のところで何か言われるかと思ったら、何事もなく通過。散歩に来ているようなおじさんおばさんの姿もたくさん見える。
工事現場の脇を通る道は人通りが多かったが、途中からルースチャペルへ向かう道は誰もいない。チャペルの前はほとんど人がいなくてとても静かだった。

小高い丘の上にチャペルがそびえている。ここは昔、王陵があった場所で、その地形をそのまま活かしているのだという。

この教会の特徴はやはり巨大なカンチレバー。カンチレバーとは片持ち梁のことで、大きな屋根を片方だけの柱で支えた形のことをいうのだという。釜山の「映画の殿堂」の建物について調べたときに知った言葉だ。
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写真で想像していたのは「巨大なカンチレバー」だったが、想像していたよりも少しスケールが小さく見えた。写真では屋根が暗くてよく見えなかったため、平たい直方体のコンクリートかと思ったが、実際に見てみると逆三角形の屋根だ。ク・ボンジュン記者の記事によると、丘の三角形と対象をなすように逆三角形になっているのだという。
黒っぽい屋根とコンクリートの色との落ち着いた配色の中で、柱のカラフルな装飾が映える。
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窓に取り付けられた格子模様も美しい。
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ソ・ヒョン氏の本では外観の写真しかなかったので、外だけ見て帰るつもりだったが、ク・ボンジュン氏のコラムで礼拝堂の美しい写真があったため、これは見て帰らないと、と思って入ってみた。
礼拝堂の扉の前は、天井が少し高くなっていて、天井の脇にはステンドグラスがはめられている。
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青系と赤系だけの色彩的にも形態的にも独特なステンドグラスで、幾何学的な形態の建物によく合う。
床に落ちる影も美しい。
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礼拝堂の門は閉まっていたが、そおっと開けてみると誰もいなかった。水平線と垂直線、そして対角線だけのシンプルな形態で構成された空間。その隙間にはやはり青と赤のステンドグラス。
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真ん中の十字架は、実は木の肌の質感をそのまま残しているのだという。
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シンプルながら美しい形態を持った教会の姿に、この場所を離れるのが惜しいくらいだ。
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教会の脇に立つ木も、葉が黄色く色づいてアクセントとなっている。
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このチャペルを訪問するきっかけをつくってくれたク・ボンジュン記者は、韓国の現代建築についてたくさんの記事を書いており、私もよく読んでいたが、私がこのチャペルを訪ねた数日後、イタリア出張中に突然亡くなってしまった。
FBには彼の死を悼む投稿がいくつも上がり、遅れながら韓国建築界においてどんな位置を占めていたかということが分かった。
冥福を祈りつつ、ク記者の記事を一つひとつ読み返してみたい。

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by matchino | 2014-12-29 21:10 | 建築 | Comments(0)

浦項! あこがれの浦項! 〈その2 - 虎尾串〉

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あこがれの浦項、次はいよいよ待ちに待った虎尾串(ホミゴッ)灯台へ向かう。
ガイドは「見るべきものもあまりないところですけどねー」というが、「灯台があるじゃないか!」といいたい。

九龍浦から30分くらいのどかな漁村をバスは走っていく。
そのうち遠くに白い灯台が見えてきた。
あれだ!

虎尾串には幾つかの施設があるが、まずは、「新千年展望台」に登る。
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海を望む広場があり、その向こうに有名な「相生の手」という手のオブジェがある。
その左には灯台!
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虎尾串のすべてが見える場所だ。虎尾串は韓国で一番最初に日が昇る、初日の出の名所。
この展望台で新年を迎えるのもいいかもしれない。

展望台から下りて、海へ向かう。
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他の観光客たちは手のオブジェと写真を撮ったり、海に突き出した回廊を歩いたりしているけど、やっぱり灯台が気になる。

灯台!灯台!

海の中に立つ手にはカモメが4羽。
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手を見ながらも灯台が気になる。
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灯台!灯台!

そしてついに灯台へ!

普段は灯台の中は立ち入り禁止となっているけれど、ガイドさんが「知り合いに頼んでみます」ということで、無事交渉成立!中に入れることになった。

さて、まずは落ち着いて灯台の概要から。
高さ26.4m。1908年の11月に完工し、12月20日にその灯りを点し始めた。それから100年以上にわたって現役で海を照らし続けている。
八角形で、滑らかな曲線を描く胴体は白く塗られているが、実はレンガ造り。どうやって積んだらこんなに美しい曲線が出せるのだろうか。
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中には鉄製の螺旋階段があって一人がやっと登れるくらいの空間しかないという。胴体には正面に3つ、裏側に2つの窓があるが、螺旋階段に合わせてあるので横から見ると互い違いについているが分かる。
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窓と入り口には皆、三角のペディメントがついている。節制されながらもさりげない装飾が美しい。
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灯台って普通、素朴な機能美を備えた男性的な感じを受けるけれど、この灯台はこの曲線といい、装飾といい、女性的な感じを受ける。

入り口の階段の両脇の渦巻き型の装飾がかわいい。
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そしていよいよ内部へ!
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正面には緩やかな曲線を描いて昇る黒い階段。
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はしごのようにも見え、独特な装飾がついている。
白い壁と、黒い階段とモールドの、節制された色彩がいい。

階段の下から上を眺めてみると、八角形の天井の真ん中にスモモの花が咲いていた。
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大韓帝国の紋章だ。
1897年、朝鮮26代王の高宗が宣布し、1910年、日本に併合されるまでの短い期間存在した大韓帝国。
100年前の世界へ連れて行ってくれるような、薄紅色のスモモの花。
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階段は天井の穴を突き抜けて上へを登っている。
上の階の天井にもスモモの花。
この日は登ることはできなかったが、次にぜひ、登りたいなあ。

階段室を取り囲んで三角形の廊下(?)がある。
この空間も曲線が美しい。
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美しい曲線を描く全体像を写したかったけれど、車が前を遮っていてちょっと残念。
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灯台の隣には灯台博物館が。この建築もなかなかいい。
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そしてその横には灯台の上部が展示されていた。
これを上に登って見たかった…。
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それでも、これで数ヶ月来の夢が叶った。
大げさかもしれないけれど、本当に見に来たかったのだ。
それがこんな形で叶うようになるとは!
招請してくださった浦項市の市庁の皆さん、ありがとう!


浦項に行きたくなったら、観光の問い合わせはこちらに。
浦項市庁 朴宥貞(パク・ユジョン)さん/日本語可能
電話)054-270-3715
メール)bakusensei@korea.kr

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by matchino | 2014-12-27 19:46 | 旅行 | Comments(2)

浦項! あこがれの浦項! 〈その1 - 九龍浦〉

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灯台が好きだ。
美しい灯台はなおさらのことだ。

以前紹介した、韓国の近代建築を美しい文章で紹介している「青春男女、百年前の世を貪る」という本に載っていた建築の中で、いつか行ってみたいと思っていたのが、加徳島(カドクト)の灯台と虎尾串(ホミゴッ)の灯台だった。

そしてその願いが叶う日がとうとうやってきた。
浦項市が主催するブロガーツアーに参加することになったのだ。

浦項市の観光地といえば、その灯台のある虎尾串と、日本家屋が残る九龍浦、そしてポスコの工場、そのくらいなのだが、すべて私の好み!そこにおいしい海産物と来たら、胸は高鳴る一方!

灯台!虎尾串!灯台!虎尾串!

1ヵ月間の私の合言葉だった。

そしてついにその日がやってきた!
雨が予報されていた天気もいいほうに裏切ってくれて、最高のツアーとなった。

灯台!灯台!とはやる心を抑えつつ、まずは九龍浦へ向かう。
九龍浦は日本統治時代に主に香川県の漁民たちが移り住んでいた町で、当時はさばの漁で栄えていたという。そのため、日本人が住んでいた痕跡が多く残っている。

日本家屋が残っている通りを浦項市が観光地として開発し、当時の「韓国の中の日本」の姿を再現している。
その中でも相当な規模を誇る「橋本善吉邸」。
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懐かしい感じの日本家屋。
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日本人の生活の姿を見せようと努力しているようすが見える。
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それより気になったのが、2階に展示されていたこの街全体の古い地図。これを見ながらこの辺りを歩き回ってみたいなあ。
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この家の他にも通りにはたくさんの日本式家屋が並んでいる。
その一部は修復されて、カフェになったりしている。
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外は少しきれいになり過ぎている感じだけれど、中はどうなんだろうか?きれいな外観の後ろの姿が気になる。
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そしてきれいな家に挟まれて古いままに残されている家屋もあった!これも日本人が住んでいた当時のものとは変わっているかもしれないけれど、その年輪が刻まれている感じがいいだよなあ。
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この街には当時、高台の上に神社が建てられていたという。
イカを干している家々の間の坂を縫って登っていくと神社跡が現れる。
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終戦後、日本人が引き上げた後は神社をはじめ、鳥居など日本に関するものは壊されたが、狛犬が残っていたり、神社の手水台が残っていたりする。
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十河彌三郎を讃えるために、日本から石を運んできて建てられた石碑。
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日本人が引き上げた後、字はセメントで消されてしまったが、十河彌三郎をしのぶ人たちの手で碑だけは残されたという。

神社の前には急な石段が。
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両側には日本人の名前が刻まれた石の欄干があったが、全て消されてしまった。しかし、後になって一つだけ残されていることが分かったという。その一人は十河彌三郎。わざと残したのではないかといわれているが、いわゆる「昔話」に出てくるような話に、じーん。

神社跡の後ろには、今は廃校になった元日本人学校の校舎。廃墟好きにはたまらない!
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そして、その向こうにつながる素朴な漁村の姿。こういう飾らない漁村をじっくり歩いてみたい。浦項、また訪ねたくなる街だ。
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まだまだ九龍浦の街は続いているけれど、タイムアップでチンパンの店へ。
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ブロガーの一人がリクエストしたのだが、これも素朴な店で、小さな蒸しパン。
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もう蒸しパンの時間が終わってしまったということで、3000ウォン分しか残っていないのを半分こずつで仲良く食べていると、一緒に来ていたりうめいさんがいない。他の人に聞いてみると、「路地を撮りに行った」とのこと。「抜け駆けされた!」と悔しく思ったが、とりあえず店の周りを回ってみると、トタンの家の前にイカが干してある光景が。
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やっぱり飾らない田舎の姿はいいのだ。
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次回はいよいよ灯台へ!

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by matchino | 2014-12-22 20:47 | 旅行 | Comments(2)