<   2014年 03月 ( 2 )   > この月の画像一覧

昌信洞ミステリーツアー その2

昌信洞ツアーの続き。
地図にあったモデルコースを辿ってみると、思いがけないものに出会った。「ミステリー・ビンチプ」だ。
「ミステリー空き家」という意味だが、韓国古建築散歩にも紹介されていて気になっていた所だ。

それは突然、目の前に現れた。
e0160774_22204765.jpg
写真では見ていたものの、こんなに異様な存在感を見せる家だとは想像もつかなかったため、目の前に現れた時のショックが強かったのだろう。
背の高い切妻屋根の家で、窓からは天井の照明器具が見える。
e0160774_22213302.jpg
煙突のレンガのむき出し感とか、屋根の鋭角感とか、映画に出てくる家のようで、「雷が鳴って、コウモリが飛んでないといけないんじゃない?」と思うほどだ。
e0160774_22215323.jpg
後でFBに上げたら関心を持った人たちが、知り合いの不動産関係の人に、この家について訊いてみたらしい。誰の所有なのか、土地の値段が幾らなのか調べてきた人もいた。
e0160774_22222004.jpg
またある人は、知人にこの家のことを聞くや否や、その知人が動揺しながら、「これ以上、その家について訊くな」と言ったという。
昔、日本人が住んでいたという噂もあるが、どんないきさつがあって朽ちるままに放置され、「ミステリー」という名までつけられたのだろう。

さて、この家を後にしてさらに歩いていくと、また不思議な光景に出会った。
この地域は採石場だった頃から「トルサンミッ」と呼ばれているというが、「石山の下」という意味だ。その名にふさわしく、岩山が現れたのだが、密集した住宅地の中に無理やり分入ったような形で岩がそびえ、その上に寺が建てられていたのだ。
e0160774_22240352.jpg
韓屋式の寺の建物の屋根が幾重にも重なり、狭い敷地に幾つもの建物が建てられているのが分かる。
e0160774_22225047.jpg
門が開いていたので入ってみると、社務所のような建物の軒下に靴が幾つか並んでいる。入って大丈夫なのかな、と思っていると、中から一人のおじいさんが出てきた。
思わず「こんにちは」と挨拶すると、おじいさんが訊いた。
「見物に来たのか?」
「はい」
「見物しな」
こんな短い対話を交わしてから寺を回ってみた。写真を撮っても何か言われないかなと思ったが、私のことに関心を示す様子もなかった。

門の前にあったお堂には「磨崖観音菩薩座像」があるとの説明があった。その名のごとく、岩に刻んだ仏像なのだが、この日はお堂が閉まっていて見られなかった。
e0160774_22275463.jpg
その脇には大雄殿があり、大雄殿の右には後ろの方へ回る通路があった。そしてそこから岩山に登る道が伸びていた。
e0160774_22282162.jpg
e0160774_22283945.jpg
e0160774_22291311.jpg
岩を削って道が作られており、石のかけらがたくさん落ちていた。階段を登ると更に上の段まで登れる。子供を抱っこしていたので転ばないように気をつけながら岩の上に登ってみた。
e0160774_22292542.jpg
小さな畑があって、岩に洞窟が二つ掘られていた。それほど深くはないが、子供を連れていたので入ることはできなかった。後で調べてみると、二つの洞窟は中で通じているらしい。
e0160774_22294307.jpg
岩山の上から下を眺めてみると、寺の瓦屋根が見えて、その向こうにごちゃごちゃと集まった住宅。そしてその向こうには背の高いアパートが壁をつくっている。異質なものが幾つも重なる風景に、やはり昌信洞は不思議な所だと思わされる。
e0160774_22300607.jpg
岩山を降りてさらに奥へ入ってみると、また小さな畑があって、その向こうには崩れかけた韓屋が2棟。
e0160774_22303518.jpg
e0160774_22305601.jpg
e0160774_22310993.jpg
こうしてこの日の昌信洞ミステリーツアーはいったん終了した。
でもまだいろんな不思議なものが出てきそうだ。ナム・ジュン・パイクの住んでいたという家も見にいってみたいし、市場でチョッパルも食べてみないとだ。さて、次はいつ行こうか…

[PR]
by matchino | 2014-03-30 22:31 | 旅行 | Comments(2)

昌信洞ミステリーツアー その1

仕事でソウル市鐘路区の昌信洞について調べることがあった。調べてみるとなんかすごく面白そうな所だ。それでさっそく子供を抱っこして歩いてきた。
昌信洞を歩いてから、金寿根氏が設計した京東教会、承孝相氏が設計したウェルカムシティと、建築&路地ツアーを計画していたが、思ったよりも昌信洞が面白く、昌信洞だけで半日過ごしてしまった。

あらかじめ調べたところによると、昌信洞は東大門の北東に当たる地域で、ソウルの中心部を囲む城郭の外側に接している。城郭は岩山の上にあり、昌信洞はその岩山にかかった地域で、この辺りは「トルサンミッ(石山の下という意味)」と呼ばれているという。昔は採石場で、朝鮮総督府や旧ソウル駅、旧ソウル市庁舎などを建てる石がここから運ばれたという。
山の斜面に張り付くように家が立ち並び、東大門衣類市場に衣類を供給してきた小さな縫製工場が重なるようにびっしりと並んでいるという。

さて、地下鉄東大門駅から出て、昌信市場に入る。狭い路地に昔ながらの商店が並んでいる。チョッパルが美味しそうだ。
市場を抜けたあたりから、道がだんだんと急傾斜になっていく。地図を見ると道がくねくねと曲がっているが、これは登るためのくねくねなんだと分かる。それでも登るのがたいへんなくらいの急勾配だ。ひいひい言いながら登る私の横をタクシーが恐る恐る降りていった。
e0160774_16543581.jpg
e0160774_16545745.jpg

ほぼ頂上に登ったが、坂以外にはそれほど面白いものを発見できなかった。それでも、どこまでも続くかのような路地なんかは他ではなかなか見られない。
e0160774_16551343.jpg


城郭の手前で降り始めたが、途中でちょっと洗練されたデザインの店を見つけた。「000カン」と書いた白い旗がかけられている。
e0160774_16554887.jpg

入ってみると、カフェのようだが、テーブルは二つしかなく、2階に上がる階段があって、2階には10数人の人たちが話を聞いているようだ。
ただのカフェではないみたいなので訊いてみると、芸術家たちが集まって地域再生プロジェクトをしているのだという。ソウル歴史博物館とコラボもしているらしい。
何も頼まないのもあれなので、紅茶を注文したら、ジャムの瓶に取っ手がついたようなマグで出てきた。
e0160774_16561671.jpg

見回してみるといろいろ面白い。カフェになる前は縫製工場だったというが、その時の天井がそのまま残されていたり、テーブルがミシン台やドアを再利用したものだったり。
e0160774_16564310.jpg
e0160774_165784.jpg
e0160774_16574230.jpg

カウンターの横には端切れや小さなワッペン、ボタンが棚にたくさん入っている。子供たちのためのブローチ作り教室なんかをしているのだという。
e0160774_16583959.jpg
e0160774_1659315.jpg

さらに面白かったのは、数冊の絵本が置かれていたが、すぐ下の図書館から配達されたものだという。このプロジェクトの始まりは地域の子供たちのための図書館運営で、子供たちが図書館に来なくても本を配達してあげているのだという。
また、街歩きのツアーをしたこともあり、そのイベントのために作った地図をもらってきた。イベントの時はMP3プレイヤーを貸し出して、音声ガイドを聴きながら歩くという形をとり、いつでも訪ねたい時に回れるようにしたという。
私に一生懸命説明してくれたスタッフが、「MP3を貸しましょうか」と言ってくれたが、「また戻ってくるのもたいへんなので、iPhoneで聴けるようにMP3ファイルをもらえませんか」と訊いてみた。まだそのファイルは公開していないということで、ファイルはもらえなかったが、これからアプリをつくって、そこで聴けるようにする予定だという。
この店の名前は「000カン」。「0」は韓国語で「コン」とも読むため、「000カン」は「公共空間」と同じ発音になる。ここのコンセプトをもじったしゃれた名前だ。

ここの他にも幾つかの空間がつくられているということだったので、地図を頼りに回ってみることにした。

e0160774_16594979.jpg
小さな図書館「なんでも」。

e0160774_1701767.jpg

もう一つの「000間」。この地域にあるアイデア看板の写真を展示販売している。販売した代金はプロジェクト資金と看板を出している店で分け合うという。
e0160774_1704244.jpg


こういう若い芸術家たちの活動って、地域の住民との折り合いはうまくいっているのだろうか?この日見たくらいではまったく分からないけれど、これからの活動に期待したい。

昌信洞ツアーは次回に続く!
[PR]
by matchino | 2014-03-22 16:53 | 旅行 | Comments(2)