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国立現代美術館ソウル館を初観覧!

国立現代美術館ソウル館が、土曜日と水曜日は無料で夜間開場しているということで、子供たちを連れてへ行ってきた。
家から1時間かかるので、ちょっと遠いけど、寒さ対策を充分にして、マイナス8度の中で家を出た。
安国駅から美術館に行く道で、家に帰る人たちとすれ違った。美術館に入ると、思ったよりすいている。ニュースでは夜間にも5000人が来場したとかいっていたし、前回来た時も受付でたくさんの人が並んでいたので、無料観覧は終わったのかなと思ったけれどまだやっていた。寒くなって来場者が減ったようだ。

さて、チケットをもらって地下の展示室に降りる。最初に現れたのは、いろんなメディアで紹介されていた、ス・ドホ(서도호)氏の青い布で作られた家の作品。
ス・ドホ氏がアメリカのロードアイランドで住んでいた西洋式の家の中に、やはり彼が韓国で住んでいた韓屋の家が入っている。
針金で作られた骨組みに、向こうが透けて見えるほど薄い布で、家の細かいディテールまで再現されている。
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前日に蔚山から帰ってくるKTXの中で、車内誌にあった作家のインタビュー記事を読んで題目を知っていたので、子供たちに「この作品の題名は何でしょうか?」とクイズを出した。
次女がすぐに「家の中の家!」と。うん、なかなか鋭い!
「それでは足りないよ」といいながら、その場にいた解説士(?)も一緒になってヒントをあげながら、何とか正解まで持ってきた。
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「家の中の家の中の家の中の家の中の家」
これがこの作品の題名だ。
家が5回出てくる。
解説によると、それぞれ
1. ソウル
2. この美術館
3. ソウルボックス(この作品がある展示室)
4. 外側の西洋式の家
5. 内側の韓屋の家
を指しているという。

ス・ドホ氏はアメリカの家に住みながら不便さを感じ、家の寸法を測り始めたという。そしてまったく同じ大きさの布の家を作り上げた。
この二つの家は青い布で作られているが、家を服に見たてて、家を服の延長として考え、服のように一緒に移動できる家という概念まで考えているという。
また、この美術館自体、景福宮の隣の韓屋が多い地域でもあり、キムサのレンガ造りの建物があった、昔と今が共存している地域であるという点と、ここに西洋式の建物を建てることに対して賛否両論出ているという、そういった背景も考えた作品なのかもしれない。

さて、この美術館、順路というものがない。ソウルボックスを中心にして、そこから各展示室を訪ねていくという形になっている。
これは、ベルトコンベアのように横にスライドしながら、後から来た人たちに追い立てられながら見る従来の美術館から脱却して、観客が主体となって作品に自由に対する美術館を目指して作られたのだという。
面白い試みだと思うし、こう変わるべき部分はあるかもしれないと思う。ただ、慣れるには時間がかかるかもしれないな、と。

今回の展示は、「アレフ・プロジェクト」と「連結_展開」というテーマでくくられた二つの展示だったが、難解な感じ。アレフとか聞いたことのない言葉まで出てくるし。
後で調べてみたら「アレフ・プロジェクト」というのは「複雑系ネットワーク理論」で、「アレフ」というのはボルヘスの小説に出てくる、「小さい玉のようなかたちの無限の空間」ということだけれど、説明を読んだらさらに迷宮入りしてしまった感じ。
とにかく、作家一人で作るのではなく、建築家、デザイナー、エンジニアが生態学者と協力して作品を作るプロジェクトなのだそうだ。
まあ、でも作品自体が面白いので、ただ見るだけでも楽しめるけど。

というわけで、順路はないので目の前に現れる展示室に入って、次の展示室に、というかたちで見ていったのだけれど、その中で気になった作品を紹介。

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上からシマシマが降りてきて、人の動きに反応して動きが変化するようだ。壁にデジタルカウンターが付いているので、宮島達男の作品かと思ったけれど違った。

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チェ・ウラムのキネティックアート。木の部分がゆっくりと開いたり閉じたりする。この前にベンチがあって、ぼんやりと眺めている人が何人かいた。

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部屋の壁に写真とテキストで作られた映像が映し出されている。文字がでかいので、けっこうな迫力。
写真はこの展示室からガラス窓を通して見た下の展示室。二つの展示室にまで続いた展示方法が面白い。が、下の展示室に下りる階段を探せなかった。この美術館、まさに迷路。

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この作品は圧倒された! 透明なアクリルのような材料で作られた架空の植物のようなオブジェ。その間を縫って歩くと、植物園を歩いているような感じだ。ときどきその植物(?)の先端がぴょんと跳ねるように動き、命のないオブジェに生命が宿っているかのような錯覚まで感じさせる。
説明を読んでみると、人間の感覚器官とその周りの環境について言及した作品だという。

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顕微鏡が幾つか置いてあり、シャーレに入った物質を観覧者が見ることができるようにしてある。顕微鏡を覗くのは久しぶりだが、ミクロの世界がこんなに美しく不思議だったなんて!
さらにプロジェクターで顕微鏡写真が壁に映し出されているが、顕微鏡を覗く観覧者も一緒にプロジェクターの映像が映し出されて、自分も標本になったような感覚。観察するものと観察されるものの関係をより複雑にしている。

他にも真っ暗な部屋の中で、天井でバチバチッと放電が起こる作品や、天井から吊り下げられた何枚もの薄い布に幾何学的な模様が映し出され、それがタブレット端末で操作できるという作品など、興味深い作品が多かった。

まだオープンしていない空間もあり、外から見ると「ここはどうやって行くんだろう?」という空間もあり、まだまだ「攻略」の余地がたくさんある美術館だ。
この美術館に関する記事をあさっていたら、「順路がなくて観客の大部分が迷ってたぞ!」という記事があったが、「それが意図なんですけど、何か?」ということだな。
でも、分かりやすい案内は必要じゃないかなと思う。あるいは親切に慣れすぎた観客を突き放す意図があるのか⁉︎ それもいいかも。

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by matchino | 2013-12-29 21:21 | 展覧会 | Comments(6)

国立現代美術館ソウル館とチェ・ウラム

韓国の国立現代美術館のソウル館がいよいよオープンした。
景福宮の隣の、キムサ(国軍機務司令部)のあったところで、その昔は宗親府があったところだ。行きたいと思いながらも行けなかったが、やっと時間ができて、末っ子を抱っこして行ってきた。

地下鉄3号線安国駅1番出口から出て、北の方へ上っていく。土曜日ということもあって人が多い。特に徳成女子校から正読図書館に続く道はすごい人ごみで、仁寺洞みたいだ。
正読図書館の前の道を景福宮の方へ向かうと左側に美術館が見えてくる。
裏の方はまだ工事が終わっていない部分があった。
さて、どこからどう回っていいかも分からないので、とりあえず一番最初にあった横っ腹の入り口から侵入。そうすると、宗親府の建物の正面に出てくる。

宗親府の建物の前は芝生を植えた、少し盛り上がった広場になっており、その向こうには元キムサの建物と新しい美術館の建物、そしてその間に景福宮が見える。
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ここにはオレンジ色のイスが所々に幾つか置かれていた。説明をみると、「温かい椅子」という作品だった。
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歴史の中で険しい道を辿ってきた宗親府の建物を慰める意味で、オンドルがついた椅子を作ったのだという。
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座ってみると、冷たい風が吹く中でもけっこう温かい。背もたれにはガス管の端のようなものが付いていて、韓国では見慣れたボイラーの装置のようだけれど、実際は電気でやっているのだろう。
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展示も見たかったけれど、朝から子供を見て疲れ切っていたので、展示は次の機会に見ることにして、とりあえず館内へ。
旧キムサの建物の1階はギャラリーとミュージアムショップになっていた。どういうシステムになっているのか分からないが、貸し画廊の案内もあったので、ギャラリーとして使われているようだ。
その中で気になったのが、ウォン・ボムシクという作家。有名な建築物が縦に重なって一つの建築になっている写真だ。
あともう一人の作家も同じようなコンセプトでオブジェを作っている。

そこからチケットカウンターの前を通って、中をぶらついてみた。
3つの棟からなっていて、けっこう広い印象を受けた。充分時間をとってこないと回れそうにない。
一部の作品は地下の展示室の上から見ることもでき、変則的ながら作品とそれを観覧する人たちを眺められて面白い。
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子供を抱っこして疲れも限界に来ていたので、そろそろ退散した。
その日はイベントもあるということで、さらにたくさんの人たちが来場していた。

帰りはギャラリーが立ち並ぶ通りを歩く。ギャラリーヒョンデは開いていたけれど、ちょっとエログロだったのでパス。
でも、その前にある小さなギャラリーの小さな看板が目に止まった。
Lamp Shop Choi U Ram」とある。その脇に黒いカーテンが下がっており、細い通路には不思議なライトが天井から下がっていた。
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キネティックアートを作る作家のチェ・ウラム氏の個展だった。ライトだけかと思ったら、通路の横の黒い引き戸が開いた。なんだか秘密の扉を見つけたような感じだ。
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中はさらに面白い空間が広がっていた。ほぼ正方形の暗い部屋の両側に、チェ氏の作品が光を放ちながらうごめいている。小さな機械音を立てながら動く、生物のようなフォルムのオブジェは、命を持っているかのような錯覚さえ感じさせる。
部屋の正面には階段があり、2階にも幾つかの作品が展示されていた。階段にも作品があり、小さなこのギャラリー自体が、チェ氏の独自の世界を作り出していた。雰囲気のいいバーのようでもあり、彼の作品が展示されたバーがあったらいいなと思わせる。
そこでもらってきた展示のハガキには、現代美術館ソウル館での展示についても書いてあった。先ほど見てきた大きなオブジェはやっぱりチェ・ウラム氏の作品だったんだ。

今日は短い時間だったけど、収穫が多かった。
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by matchino | 2013-12-01 21:20 | 展覧会 | Comments(0)