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国立現代美術館「今年の作家」展

前回からの続き。

今回の展示の最後は「今年の作家」展。注目の4人の作家の展示だったが、前に徳寿宮プロジェクトで見た作家の作品もあった。

でも、どういう意図の作品なのかはよく分からない。
と思っていたところ、シン・ミギョン作家の展示のところでドーセントが説明をしていた。
この作家は古代彫刻や壺などの遺物のレプリカを作っている作家らしかった。
ほとんど説明が終わった頃で文脈はよく分からなかったのだが、「…これもさっきの作品と同じく石鹸で作られています」というではないか。

えー! 石鹸⁉

確かにこの展示室にある100点以上にもなるシン氏の作品は、すべて題名を書いたプレートに「石鹸」と書かれていた。

その中のメソポタミアっぽい彫刻は、ところどころ欠けていたりするが、これはこの彫刻を雨風にさらしていたために破損したのだという。

普通、彫刻は金属や石で作られるが、長い年月が経つと雨風によって風化する。
石鹸も同様で、その「風化」する時間が短いだけなのだという。
そして観覧者は、長い年月をかけないと見られない風化の様子を目の当たりにするというわけだ。

そこで思い出したのが、美術館の庭に新しく展示されていた彫刻。これはこの作家の作品だったんだ。
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帰りに見に行ってみると、確かに「石鹸」と書いたプレートがある。プレートは金属だったので、作品が溶けてなくなったとしてもプレートは残るわけだ。
でも彫刻はまだ溶けた様子が見えなかった。展示が始まって1週間だから、これからか。


帰る前に、前回も見たビル・ビオラの展示を見に行った。
前回は燃えさかる炎の前に立つ黒い人影の映像だったが、今回は水が上からこぼれ落ちる下に横たわった人がゆっくりと天に昇っていく映像だった。
といっても水は逆さに昇っていく。映像を逆回しにしているのだろうけれど、そのように感じさせないほどに自然だ。
オペラ「トリスタンとイゾルデ」のためのインスタレーションだからか、何か神話的な雰囲気も感じさせる。

あ、もう一つ。
ミュージアムショップも改装したとかいう噂も聞いていたので行ってみた。
で、改装したのではなく、入口の脇のインスタレーションが新しくなったということだった。

でも、このインスタレーション、色とりどりのモビールがゆらゆら揺れていて、モビール好きにはたまらない。
売ってたら買おうかと思ったけれど、見つからなかったので、売り物ではないのかなあ。
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by matchino | 2013-08-19 21:41 | 展覧会 | Comments(0)

国立現代美術館の展示「デザイン・もう一つの言語」

だいぶ間が空いたけれど、国立現代美術館の続き。

建築家・チョン・ギヨン氏のアーカイブ展示を見終わって2階の展示室に降りてきたが、展示室に続く通路の片隅に、誰かがうずくまっていた。

汚くはないが、綺麗とはとうていいえな身なりで、靴の紐はほどけている。
気分が悪くなったのかなとも思ったけれど、やっぱりちょっと危ない人っぽい。

あ、もしかして、これはパフォーマンスをやってるのか?
この人のすぐ上には「隠れないでください。麻薬治療相談は局番なしの129番」と書いた紙が貼ってあるし。
それでも異様な雰囲気に写真も撮れないまま行ったり来たりしていた。

で、その階の展示室は「デザイン、もう一つの言語」という展示がなされていたが、その入口に作家のインタビュー映像があった。
その映像をなんとなく見ていると、さっきの変な人がうずくまっていて、その前にいる作家がその人を掴んで揺さぶっている。
なあんだ、あれは人形だったんだ。
この展示室の出口にももう一人うずくまっていた。
これを知って初めて写真を撮ることができた。
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怪訝そうに見ていた娘が人形の裏側を覗いてみていた。
「アッパ、顔がないよ」と。

それで初めて「どれどれ」と裏側を覗いてみた。紙を丸めて人の形を作った上に、服を着せ、靴を履かせてカツラをかぶせてある。
でも表からは本物の人間にしか見えないくらいのリアルさなのだ。


この展示でもう一つ、面白いなと思った作品は、これ。
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大型ショッピングセンターなどにあるカートだけれど、なんと、乗用。

それも、大人が乗れる。

さて、動力は?

この作品の後ろの壁には動画が映っていた。
それをみると、真ん中にある電動ドリルが動力になっているらしい。
つなぎを着た作家がこれに乗って道路を走っている姿が上映されていたが、間抜けにも見え、なんとなくかっこよくも見える。

その横に展示してあったのが、この箱。
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このパーツを装着するとショッピングカートがゴーカート(?)になるらしい。
うーん、乗ってみたい…。

↓ここに動画があります。
http://m.tvcast.naver.com/v/75057
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by matchino | 2013-08-19 21:15 | 展覧会 | Comments(2)

建築家チョン・ギヨン氏のアーカイブ展示

建築家チョン・ギヨン氏のアーカイブ展示を見に国立現代美術館に行ってきた。
久しぶりのいい天気で、キムパプを買って、美術館の庭でランチ。彫刻が並び、カササギが遊ぶ芝生が気持ちいい。

さて、今日の目的のチョン・ギヨン氏のアーカイブ展示は美術館の3階で行われていた。
チョン氏が美術館に寄贈した膨大な資料の中から厳選したスケッチや模型、蔵書などが展示されていて、建築を学ぶ人にとっては垂涎ものの展示ではないだろうか。

チョン・ギヨン氏は韓国を代表する建築家の一人で、代表作である「奇跡の図書館」などが有名だ。

学生時代からの作品が展示されていたが、氏の最初の専攻は陶芸だったそうだ。裕福ではなかったため、材料費が安いことが専攻を選んだ理由だったというが、後に研究していた「土の建築」にもつながるものだろう。
貧しい人たちのための、安くてよい建築を建てようとした氏の思想は、建築家自身の境遇から来るものが大きいのだろうと感じさせられる。
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彼は韓国国内の閉鎖的な状況から逃れるためにフランスで留学した。留学生活の中でフランスの現代思想に大きな影響を受けたという。
彼の蔵書が展示されていたが、一つひとつの本からどんな影響を受けたのかが記載されていた。
彼の描いたスケッチも展示されていたが、とても魅力的なスケッチで、びっしりとフランス語でメモなのか説明なのかが書かれている。
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彼の研究書を一度読んでみたいと思わされた。
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彼が建てた建築物の図面や模型も展示されていた。住宅や記念碑など、分野によって分けられていたが、その中で最も興味深かったのが、教育機関の建築についての内容だった。
彼の理想とする教育建築は、学ぶ場所ではなく、体験する場所だ。
順天と西歸浦の「奇跡の図書館」の模型や、図書館での子供たちの映像があったが、わざわざ訪ねてみたくなるほどの魅力的な建築だ。
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そして最後の部屋では彼が建築の思想について語っている映像が上映されていた。大腸ガンで亡くなる前の闘病中の痛々しい映像で、声もかすれてほとんど聞こえないほどだけれど、語っている内容は本当に素晴らしいものだった。
子どもたちを連れて行ったので長くは観られなかったのが惜しい。彼の本はぜひ読んでみたい。

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これは最後の展示室にあった写真。
本当にいい顔をしてるよなあ。
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by matchino | 2013-08-02 20:03 | 展覧会 | Comments(0)