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筆洞のストリートミュージアムが楽しい!

FB友達が筆洞の「ストリートミュージアム」に関する記事を上げていた。週末、特に行くところもなかったので、娘を連れて行ってみることに。
地下鉄4号線忠武路駅4番出口を出て、毎日経済新聞社の裏の路地に入ってみる。どこだかはっきりは分からないで行ったけれど、うろついていたら、これを見つけた。
道端に設置されたギャラリー。

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スタンプラリーのスタンプもあるため、どこかに用紙がないかと探してみた。

さらにうろついてみると、記事にあった「マイクロミュージアム」という映像作品の展示があった。

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そして、その前には「チケットボックス24」という店。美術書籍の店で、スタンプラリーの用紙を備置してあった。スタンプを全部押すと、隣のカフェでコーヒーをもらえるという。さっそくスタンプラリーに出発した。

ここから出発!↓


ギャラリーがあったり、立体駐車場のビル全体が作品になっていたり、道端に作品があったりと、展示の仕方も多様で面白い。作品のレベルも高い。パブリックアートって今まで関心がなかったけれど、これはなかなかよかった。

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全部回ると30分くらいかかったけれど、スタンプラリーがあるので、うちの娘も楽しんで最後まで回れた。

近くにある南山韓屋マウルの中にも3つの作品ブースがあった。

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全部回って、最後のスタンプは「チケットボックス24」の隣のカフェで押してもらった。そして、私はコーヒー、娘はアイスティーを。

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このカフェも、韓屋を改造したようで、なかなかいい空間。
実はここ(なのか、このあたりなのか)は「南學堂」という朝鮮時代の教育機関があったところなんだとか。

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パンフレットをゆっくり読んでみると、2014年から行っているプロジェクトだという。今まで知らなかったことが不覚!
毎年5月と10月にはストリートアート・フェスティバルを開催しているということなので、ぜひ行ってみよう。

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by matchino | 2017-03-11 21:30 | 展覧会 | Comments(0)

秋夕のソウル美術館めぐり

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秋夕の連休、初日は美術館めぐり。
まずはソウル市立美術館へ。
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メディアシティソウルという市立美術館が開催しているビエンナーレの展示がされていた。
チェ・ウラム氏のキネティックアート以外はそれほど気になる作品がなかった。
昔はその作品が意味するところが解らなくても楽しめたのに、最近は楽しめなくなってきたな…。
それよりは、Gana Art Centerから寄贈された作品のコレクション展の絵画がとてもよかった。版画や油絵なのだが、なんだか心が動かされ、ずっと見ていたいような気になる作品。
年をとってきて、好みが変わってきたのかもしれないな。

さて、次は国立現代美術館へ。水曜日は6時から無料観覧なのだ。
前回、見そこねた「テンプル」という題名の船のオブジェ。
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いい感じの空間で、たくさんの人たちが思い思いに過ごしていた。食べたり飲んだりするのが禁止されているかと思ったら、まったくそういうこともなく、とても自由だ。

今回はどんな展示があるのかも知らないで行ったけれど、一つの大きな作品が、ヒュンダイ自動車の提供で行われている、キム・スジャという作家の展示だった。
最初は「心の幾何学(Archive of Mind)」という作品。
観覧者が参加する形の作品で、10人ほどで一緒に入って説明を聞いてから作品をつくる行為に参加する。
広い展示室の中には長さ19mの楕円形の木のテーブルが置かれていて、その上に無数の玉があった。参加者は粘土をもらって、一人1つずつ粘土の球を作るのだ。楕円形のテーブルの周りには36脚の椅子があって、そこに座って粘土の玉を作る。
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最初に言われたのは、椅子を動かさないことと、球形以外の形はつくらないこと。球形を作る作業は、角張った心を丸くしていく修行のような行為で、一人ひとりが自分の作業に集中できるように、椅子の位置を少しずつ離しているのだという。
さっそく粘土をもらって娘二人と一緒に玉を作り始めた。
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簡単なようで、けっこう球形を作るのが難しい。下の娘は手が小さいこともあってうまく作れなかったので、私が仕上げをしてあげた。
参加者たちも黙々と粘土を丸めているため、静かだ。効果音として石が転がるような音が聞こえるのも面白い。
作り終わって、次の部屋には他の作品が展示されていて、映像作品もあった。映像はどこかの国で、何かの植物で敷物を作る過程を映したものだったけれど、先ほど粘土を丸めたからか、「手で何か工芸品を作るっていいなあ」という気がした。
心の修養というか、心が落ち着くというか、自然の材料を使って、手で何かを作るという行為は、心にいいのかもしれない。昔、燃える火を見つめていたら、とても心が落ち着いたことがあるけれど、その時の感覚と似ている。だとすると、陶器を焼くという行為は、土で形を作り、火で焼くということで、心の修養にとてもいいのではないかという気がしてきた。

この作家の作品はこの他にも中庭に展示されていた。四角い中庭の真ん中に鏡のような敷物が敷かれ、その上にストライプの模様が入った長い球形が立っている「演繹的なオブジェ」という作品と、中庭の周りのガラスに虹色の光の筋を見せるフィルムを貼った「呼吸」という作品。
作品の意図は分からないけれど、力を感じる。さらに夕方の外の光の中でとても美しかった。
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出てくると、「テンプル」が月光と照明に照らしだされていた。夜もいいな。
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美術の世界から少し離れて、久しぶりに美術館に行ってみると、より自分の心が行く方向がはっきりとしてきたような気がする面白い一日だった。

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by matchino | 2016-09-14 23:25 | 展覧会 | Comments(0)

若い建築家プログラム「Temp'L」

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これ、なーんだ!

とFBに上げたらいろんな回答が帰ってきた。

巨大マトリョーシカ!
巨神兵の頭!
天狗の頭を下から見たとこ!
竪穴式住居!
ガンギエイ!

想像力豊かなおともだちのご意見は尊重させていただこう。^ ^

で、正解は廃船。
(言わんでも分かるって?スミマセン…)
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廃船は廃船でも、これは国立現代美術館ソウル館の庭に設置された作品。
「若い建築家プログラム」というプロジェクトで、MoMAから始まって、2年前から韓国でも国立現代美術館で行っている。韓国では今まで「神仙遊び」という雲を象った作品や、「屋根の感覚」という巨大なすだれをつくった作品などが展示されたが、今回は廃船を再利用した「Temp'L」という作品。
Temp'L とは、テンポラリーとテンプルを合わせた造語で、新しい瞑想のための空間をつくったという。
廃船を再利用して美術館の庭に組み立て、都市の中の休息空間とした作品。
でも仕事に帰りに行ってみたら、フェンスが張ってあって、中に入れない。美術館の開館時間にしか近寄れないようになっているらしい。また来ないとだな。
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説明に「レディメイド作品」とある。なるほど、レディメイド。と考えていたら、デュシャンの「泉」に形が似てるかなとか。
ちなみに、一番上の写真を妻に見せたら「なんか形がエッチな感じ」と。何に見えたんだろうか…?

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by matchino | 2016-07-10 17:33 | 展覧会 | Comments(0)

ソウル市立美術館「ソウルバベル」展

ソウル市立美術館は今、「スタンリー・キューブリック展」が進行中。
若えモンはたくさん来ているみたいだけど、入場料が高いし、キューブリックってあんまり見たことがないのでパス。

それで、1階で展示中の「ソウルバベル」展を見てきた。
この展示は、国内の現代作家を紹介する展示のうち、若手作家を紹介する「SeMA(ソウル市立美術館)ブルー」のプログラム。
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美術館のサイトにある説明によると、

今回のSeMAブルー2016は、「ソウルバベル」というタイトルで、個別作家の作品を深く扱ってきた例年の展示とは違い、現在、ソウル市のあちらこちらで自生的につくられている芸術プラットフォームと彼らの創作活動に注目する。展示は、乙支路、昌信洞、清凉里などソウルの旧都心や旧産業地域、あるいは町外れの隙間で独立的に空間を運営中であったり、ウェブを基盤として一時的共同作業を営んでいるオルタナティブ共同体の活動を一つの現象として照明するために企画した。

とのこと。
「乙支路」とか「昌信洞」という地名に引かれて行ってみることにした。

展示室に入るなり、館内放送。まもなくパフォーマンスが始まるとのこと。
場所についてのアナウンスもなく、なんとなく人が集まっているあたりに行ってみた。

アイフォンを持った女性が登場し、風船の草原(?)に横になった。
ときどきアイフォンに向かってつぶやいている。その声がどこかでマイクで拾われて、増幅されている。
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やがて女性が起き上がって、風船を摘み始めた。ときどきアイフォンに向かってつぶやきながら。
で、ほとんどを積み終わって、それで終わり。

んー、なんなんだ。
30人くらいの人たちが見ていたけれど、純粋な観客は10人くらいで、あとは内輪みたいだ。

で、他の作品を見て回ったけれど、正直いって何をいいたいのかは不明。
最近のアートの文脈を把握していたら分かるもんなんだろうか?
ちょっと内輪すぎるんじゃないかなあ、というのが私の感想。
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まあ、その中でも気に入ったのが、下の写真作品。
廃墟のような部屋に、テトラポッドの形の風船が置いてある。
どこにある建物なのか気になる。
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韓国のギャラリーに行ったりすると、部外者が入りにくい壁を感じることが多い。
この日の展示を行っていた人たちの作業する空間に行っても、疎外感を感じて帰ってくるだけなんじゃないだろうかという気がする。まあ、行ってみないと分からないけれど。

それにしても、「バベル」ってなんだ? バベルの塔?
「3つの下僕に命令だ!やー!」ではないだろうし…
人が言葉が通じないようになってしまったというあれか?
私がこの人たちと疎通できないのはこのためか?

展示は4月5日まで。

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by matchino | 2016-01-28 21:22 | 展覧会 | Comments(0)

廃焼却場を利用した美術展「空間の耽溺」展

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韓国のあちこちで、廃墟となった空間の再利用がなされているが、また新しい再利用空間が誕生した。
仁川に近い、京畿道富川市の廃焼却場が文化空間として生まれ変わったという。その第1回のイベントとして、19人の芸術家たちが作品を展示する「空間の耽溺」展が開かれている。
廃墟好き、インスタレーション好きとしては行かずにはいられない展示だ。家から2時間、電車とバスを乗り継いで行ってきた。

富川駅からバスに乗って30分。近くの停留所から歩いていくと、交差点に門が面していて、展示の横断幕が張られていた。
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入ってすぐ事務棟があり、その建物で展示が行われていた。

建物に入るなり、廊下の一面が茶色い紙とテープで覆われている。さらに左側の廊下に入っていくと、廊下全体が紙とテープに覆われていた。
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クリストの建物を覆ってしまうプロジェクを思わせる。内部から覆っているからクリストの反対だな。部屋に入ると、部屋の中にまで紙が入り込んでいた。

そして、部屋の片隅には廃材で作られたオブジェ。
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他の部屋ではスタッフが、一般人対象の参加型プログラムを準備していた。
が、観客は誰もいない。まだ早い時間とはいえ、一人もいないとは…。

さて、地下と2階にも展示があるらしく、まず地下に降りてみた。
地下は薄暗く、映像が再生されているような光が部屋から漏れていた。
階段を降りきったところで、足を踏み外してしまった。
と思ったら、

「あ! 水!」

足を踏み外したところに水たまりがあったようで、靴が濡れてしまった。
子供を前におぶっていたので見えなかったのだが、地下は床一面水浸しで、人一人が通れるくらいの足場が作られている。
雨が入り込んだのかと思ったが、足場を伝って部屋に入って驚いた。
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部屋の奥の一面に映像が投影されていて、下の水にその映像が反射している。部屋が暗いので深い池のようにも見えて、神秘的な雰囲気さえ感じさせる。

地下には3つの部屋があり、そのすべてが水が張ってあった。
隣の部屋には壁に工場の内部の写真が展示されていて、奥には煙突のようなオブジェがあって水蒸気の煙を吐き出している。怪しげな工場のようにも見えるが、森の中の池で不思議な生物に出会ったような感覚もする。
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もう一つの部屋はさらに暗くなっていて、外からの光が差し込む一角があり、その反対側には木で作られたボートと小屋のオブジェが、水の上に浮かぶように置かれている。
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この三つの部屋は4人の作家による展示だが、床に水が張られていることによって作品がより一層引き立つ。これは作家たちが自ら提案したものなんだろうか。ロケーションとも相まって素晴らしい展示だ。
(追記: この水が張ってあるのは、浸水してしまったものをそのまま活用したのだという。そういうことができるセンスって素晴らしい!)

2階の展示も面白かった。
部屋に入ると、部屋の一角には焼却場時代のものらしい機械が置かれていて、部屋の真ん中には天井から下がった水風船。
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機械とオブジェと、広い窓のある部屋の雰囲気との不思議な調和。

2階の他の部屋はまあまあ。
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この建物の向こうにも大きな建物があって、そちらの方に行ってみたが、入り口にシャッターが下りている。スタッフに訊いてみると、積んであった段ボール箱が雨と風で倒れてしまったため、閉鎖したという。
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スタッフは「作品だけ見ますか?」と、裏口に案内してくれた。
大きな倉庫のような空間にいくつかの作品が展示されていた。
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何本かの細長いライトが並んでいる。
これを手で触ると手の熱に反応して光が集まってくる。
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36個のスピーカーが円形に吊るされていて、ときどき「ごおーん」という鐘の音が聞こえる。
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50年代にこの焼却場が建てられてから、産業化がなされてさまざまな出来事が起きてきたが、それらの出来事を旗によって表現したという。緑色の旗がセマウル運動の旗を思わせる。床に置いてある三つの星はサムスン(三星)だという。
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そして最後の作品。
柵があって、その向こうは…虚構⁉︎
…と思うくらいの広い空間が広がっていた。というよりは、天井が高くて下も深い。そして正面には巨大な布が風にゆっくりと揺れている。
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ゴミが最終的に集められる空間だったそうで、この空間だけで圧巻!
布には白い光が投射されて弧を描く。
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隣には、その光の軌跡を合成して月の姿を作った写真作品があった。
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これからどんなイベントが行われていくんだろうか?
家から遠くて行くのは大変だが、また来てみたい。

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by matchino | 2015-08-09 20:31 | 展覧会 | Comments(0)

国立現代美術館ソウル館「若い建築家プログラム」2015

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国立現代美術館ソウル館で、昨年から行われている「若い建築家プログラム」。今年もソウル館の中庭に作品が設置されている。
去年はニンニクみたいな雲の作品だったが、今年のは巨大なすだれが空に波打っているものだという。
行ってみると、本当にすだれが風にひらめいている。
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作品の題名は「지붕감각」。訳すと「屋根の感覚」といういった意味だろうか。つくったのはSoA(Society of Architecture)という名の、カン・イェリン氏とイ・チフン氏の建築家ユニットで、この作品は韓国の伝統的な素材を使って見直そうという試みだという。
すだれの下にはウッドチップが敷かれ、たくさんの人たちがヨシで作った椅子に座って涼んでいる。
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曇りで風も吹くそれほど暑い日ではなかったので、その空間がどれだけ涼しいのかは分からなかったけど、また暑い日にでも寄ってみたいな。
丸いお盆のような形を作って、その中に収まるようにすだれを設置しているようだ。すだれのところどころにも丸い穴が空いている。円形にしたのは何か意味があるのかな?
円形の片隅には盛り上がった坂があって登れるようになっている。何か思ったら、すだれに空いた穴から顔を出してすだれの上を見られるようになっていた。
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たくさんの人たちが集まっているのは、モニュメント自体が人を集める力があるからか、作品に人を集める力があるのか、それは分からないけれど、人が集まれる憩いの場ができるというのはいいことだと思う。
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でも、監視する人が常に円の中にいて、作品を傷つけないか見張って、椅子の位置を変えると椅子を動かさないように注意される。その人の目が気になってお行儀よくしないといけない気になるのがちょっと嫌だった。観覧者のモラルの問題もあるけれど、もうちょっとセンスのある管理の仕方がないかな。
まあ、これは美術作品であるということなんだろう。耐久性の問題もあるし、難しいところだな。
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すだれが風になびく姿が気持ちよくて、久しぶりに動画撮影。



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by matchino | 2015-07-18 22:42 | 展覧会 | Comments(2)

ベニスビエンナーレ建築展の帰国展「韓半島 烏瞰図」

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久しぶりの美術館観覧。最近は街歩きに忙しくてなかなか美術館に行けてなかったけれど、今回の展示はぜひ観たいと思っていたもの。実は展示のことを忘れていて、この前知り合いになった韓国ナショナルトラストのチェ・ホジンさんが誘ってくれて、最終日になんとか間に合った。

今回の展示のテーマは「韓半島 烏瞰図」。昨年、ベニスビエンナーレの建築展で韓国館が金獅子賞を受賞したが、その帰国展示だった。展示の内容は北朝鮮と韓国の建築。というより、韓半島の建築というべきか。なぜかというと、100年間の建築についての展示なのだが、今から100年前は分断されていなかったからだ。しかし、その後分断されてしまうことによって、北と南で建築の様式も別れていくようになり、そんな対比も見ることができる機会だった。

この日は最終日というだけでなく、もう一つのイベントがあった。韓国館のコミッショナーとなった建築家のチョ・ミンソク氏が展示の解説をしてくれるというのだ。北との共同展示を行うという壮大な「プランA」を企画しながらも、北との接触自体が簡単ではない中でそれが霧散となり、準備していた「プランB」を行うことになったことなど、展示が完成するまでの15ヶ月の苦労を話してくれた。
プランAは霧散になったとはいえ、北の資料もたくさんあり、テーマの選定だけでも興味深いところに実質的な資料の規模も兼ね備えて、金獅子賞を受賞した訳が分かったような気がした。

展示内容を紹介しよう。

今回の展示のポスター。
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展示のテーマは「韓半島 烏瞰図(オガムド)」。鳥瞰図(ちょうかんず)ではなくて、「鳥(チョ)」の字が「烏(オ)」になっているが、これは1910年生まれの天才詩人・李箱(イサン)の詩「烏瞰図(オガムド)」からとったもの。当時の新聞に連載されながらも難解すぎて読者からの批判もあって連載が中断されたという。

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展示の最初に書いてあった李箱の詩「烏瞰図」の一編。ビジュアル的にも今回のポスターのモチーフになっている。また、上下が対称になっているのも今の韓半島の姿のようだ。
李箱はもとは建築を専攻しており、天才的な実力を発揮していたという。そういった意味でも今回の展示のテーマとして持ってきたのは面白い。

今回の展示に関わった人たちは全世界に散らばっているということで、擬似万国旗をつくって外に掲げていた。
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南を代表する建築家として金寿根(キム・スグン)氏の作品がたくさん展示されていた。
真ん中にあった世運商街の模型。
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ソウルの南北を横切る住商複合アパートをつくる壮大なプロジェクトだが、金寿根氏の手を離れて当初の計画通りには建てられず、実際にも街を荒廃させる原因となってしまって失敗したプロジェクトとなってしまった。一部は取り壊されたが、最近、建築家の承孝相(スン・ヒョサン)氏が中心となって新しく生まれ変わるらしい。
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この模型の上に掲げられた写真は、左がソウルの街で、右が「北の金寿根」といわれる建築家キム・ジョンヒ氏の作品。

金寿根氏が設計した建築。
このブログでも何回か紹介したウォーカーヒルのヒルトップ・バー。今は下がふさがれているけれど、建てた当時は開いてたんだな。こうしてこそ本当にW型なのに。
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金寿根氏によるポンピドゥーセンター案。結局はレンゾ・ピアノが勝ち取ったけれど、金寿根氏も出してたんだな。
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空間社屋(上)と京東教会(下)。京東教会は、今は天井がふさがれているけれど、建設当時はこんなふうに開いてたんだな。
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そしてこちらは北の建築。
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まさにモダニズム。誘ってくれたチェ・ホジンさんの話によると、モダニズム建築の礎を築いたル・コルビジェは社会主義者で、モダニズム建築と北朝鮮とは相性がいいとのこと。
ここにある写真は外国人が撮ったもので、すべての建物が「設計者:未詳」となっていた。解説によると、北の建物は皆、設計が金正日となっているんだという。金正日はさまざまな技術を持った人だともいわれているだとか。もっとも優秀な労働者として偶像化されているんだろうか。

ここはDMZについての展示。
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板門店を北と南から撮った写真が並べられている。お互いに数十メートルしか離れていないが、この2枚の写真を撮るためには1000キロ以上を回ってこなければならないという現実がある。

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DMZのジオラマ。
軍事施設が配置されていたり、地中には兵士たちの白骨が埋まっていたり、空には対北ビラの風船が飛んでいたりするけれど、民間人統制地域であるため、手つかずの自然が残っているという皮肉な事実がある。

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DMZを真ん中に置いた北と南の各機関の関連図。これだけよく調べたもんだな。
日本の朝総連はどこに通じているのかたどってみると、朝鮮労働党に直結していた。

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DMZをテーマにしたナム・ジョン・パイクの作品。
「DMZをトラ農園にしよう」と。
「トラ」という発想はパイクだからか、時代的なものか…?

北の人にストーリーと絵を依頼して制作した建築マンガ。
女流建築家の主人公が設計に悩んだ末に紅葉の葉からインスピレーションを受けて傑作を設計し、コンペを勝ち取るというストーリー。
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劇画タッチの画風から韓服(北では朝鮮服というのか?)を着た主人公、女性の社会進出、建築に対する哲学など、いろいろな要素を盛り込んでいて、南の立場から見ても興味深い部分が多い。
写真は撮り損ねたが、次の部屋に展示されていた建築に関する北の絵画には、建設現場に女性の姿があった。まあ、それが共産主義の理想として描いているだけなのか、実際に男女平等がなされているのかは分からないけれど、理想だけなんじゃないだろうかといのが私の推測。

このほかにも南北の専門家による解説の動画があったりと、興味深い資料がたくさんあった。特に動画には、チョ・ミンソク建築家が「近現代建築史の歩く百科事典」と評していた、今回のキュレーターの一人であるアン・チャンモ氏の解説もあり、見られなかったのは残念だ。

この展示、アメリカから招請されて展示を行うという。

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by matchino | 2015-05-21 22:44 | 展覧会 | Comments(0)

北漢江の川辺で「大成里、外の美術展」

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朝のニュースで「大成里、外の美術展(바깥 미술전)」という展示が紹介されていた。
漢江の支流である北漢江の川辺で、木や草や石などをつかったオブジェが展示されているらしい。
調べてみると、1981年から続いている企画なんだという。8日間という短い期間で、大きな話題になることもなく、静かに行われていた展示だったのだろう。
暖かくなってきたし、子供たちを外で遊ばせるのも兼ねて訪ねてみた。

地下鉄上鳳駅から江原道の春川に向かう京春線に乗って1時間ほど、大成里駅(テソンニ)に到着する。
MT(大学のサークルなどの親睦を深めるための合宿)でやってきた大学生や子供連れの家族がけっこうたくさん降りた。
北漢江辺散策路への標識に沿って少し歩くと、「外の美術展」の看板が出ていた。
北漢江へ出ると、すぐ左に美術展の横断幕。

ニュースで紹介されているくらいだから人が多いかと思ったら、人は点々。
来ている人たちは、北漢江沿いのサイクリングロードを自転車で走るために来た人たち。そして散策を楽しむ人たち。わざわざ美術展を見に来る人はいないんだろうか。

それでも、川があり、木があり、山が見え、気持ちのいい公園だ。
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ゴミがけっこう落ちていたり、ベンチの周りはタバコの吸い殻だらけだったりするけど…。

作品を紹介しよう。
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セミの脱け殻を透明なビニールで作った作品。
30cmくらいの大きさで、けっこうたくさんくっついているので、ちょっと気持ち悪い気も…

「斜線」という題名の作品。木の陰?
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木の幹に生えるキノコのような作品。
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贈答用の箱を再利用して作ったロボット(?)。
解説によるとロボットではなくて木らしい。
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ヤギ?
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木が花束を持って、そこにちょうちょがとまっている。
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川辺で遊ぶ子供たち?カエル?
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木の枝を背もたれにした椅子。
座っていると景色もいいのでとても気持ちがよかったのだ。
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木屑や枯れ葉などを盛り上げた横には石を積んで、古墳?
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展示のマップもなく、範囲を示す表示もなく、ただ作品の前にA4用紙に書かれた作品の簡単な説明があるだけなので、とてもゆるーい感じ。

作品がどこまであるんだろうかと川辺をずっと歩いていくと、ちょっと不思議な光景が。
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石の上に石が立ててある。
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近づいて触ってみると、乗せた石は下の石と接着してあった。
作品の表示がないところを見ると、昨年の作品なんだろうか。

こうして回ってみると、木の一つひとつが作品に見えてくる。すっかり葉が落ちた木の上に枯れ草が覆い被さって、オブジェのように見えるのだ。
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木にゴミがひっかかったりしているのも作品ではないかと思ったり。

会場(?)にけっこうゴミが落ちているので、「こういうイベントするんだったら掃除しろよなー」とか思ったけれど、それも飾らないこの地域の姿なのだと、それを変に飾ろうとしない住民も面白いなと思った。

そういえば、淀川のゴミでオブジェを作って川原に展示するアートユニット「淀川テクニック」なんかも地域住民と協力して制作活動をしていたりしていたよな、と。

環境アートって、自然保護的なメッセージを発しているものが多いと思うけど、変な理想主義に陥らない姿を見せているようでいいかも。

2015年の展示は2月28日から3月8日までで、終わってしまったけれど、毎年開催しているようなので、気になった人は来年に!
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by matchino | 2015-03-19 22:33 | 展覧会 | Comments(0)

国立現代美術館「イブル展」と「バウハウスの舞台実験展」

国立現代美術館ソウル館で開かれている、イ・ブル展。
韓国国内よりは海外で評価の高いイ・ブル氏の大規模な新作が見られるということで、けっこう話題になっていたが、まだ見ていなかった。
以前、子供を連れて国立現代美術館には行っていたのだが、この展示は子供が入れないということで、展示室を前にして引き返すしかなかったのだ。
子供が入れないなんて、会田誠の作品みたいなやつ?
いやいやそうではない。(もっともイ・ブル氏が昔、裸になってパフォーマンスをしたことがあるということだが…)
展示室全体が鏡で覆われていたり、白い煙が展示室に充満したりしていて危ないから、ということなのだ。
それでまだ見てなかったのだが、今回、なんとなく水曜日の夜に美術館に行きたくなったので、会社の帰りに一人で寄ったというわけ。
水曜と土曜は、午後6時から9時まで夜間開場していて、入場料が無料なのだ。会社から歩いても30分だし、ありがたい環境だ。

チケットをもらっていつものとおり、エスカレーターで地下に降りる。
すぐ脇には「ソウルボックス」という展示空間。
今はレアンドロ・エルリッヒの作品が展示されている。
ちょっと失敗したのが、地下の「種明かし」的空間から入ってしまったこと。
最初に上から眺めるべきだったのに!
展示の動線、なんとかならんかな。
これは後から上から見た様子。上から見るのだぞ!
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後で調べて分かったのだが、金沢21世紀美術館の「スイミングプール」の人かあ。
螺旋階段の作品は前に見てたな。
プールといい、ここのヨットといい、素材がホックニー的?
アルゼンチンの人なんだー。
作家の紹介動画も上映されていたので、また来よう。

さて、次はついにイ・ブルの展示!
今回は美術館のウェブサイトにあるテキストまでしっかり読んで予習してきたので、期待も大きい。
展示室に入ろうとすると、「注意書きを読んでください」とのこと。
鏡は踏まないでくださいとか、順路に従って進んでくださいとか。
そしていよいよ展示室へ!

まずは、「太陽の都市」という作品。
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あれ?明るい…?
知り合いの話では、鏡を何度も踏みそうになってたいへんだったとか。
えー、そんなことないし!
普通に通り抜けて終わり。もうちょっとすごい体験ができるのかと思ったのに…

そして次の展示室の「早朝の歌」という作品。
これはすごかった!
けっこうな高さがある展示室に、銀色と透明の素材で作られた巨大なオブジェが浮かんでいる。
イ・ブル氏の過去の作品に「サイボーグ」という連作があって、SFアニメのロボット的なオブジェだったが、これもSF的な感じ。宇宙船的なイメージだ。
かっこいい!

白い煙に包まれるというのはこの作品で、1時間に1度、煙を発生させるという。
煙の中でぜひ見てみたくて、スタッフに訊いてみると、「1時間半に一度、煙を発生するので、次は8時になりますね…」と。まだ1時間あるし!

それでとりあえず、他の展示室を見に行くことにした。

もう一つ見たかった展示が「バウハウスの舞台実験」。
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バウハウスによる舞台衣装をはじめとするデザインの展示で、幾何学的なデザイン画や衣装を展示している。
人体を直線と円で解こうとする試みがうかがえるスケッチがたくさんあった。
形状や色彩はバウハウス独特な印象を受けるが、なかなかかっこいい。

あるFB友達は、この衣装の一つがウルトラマンに似ているといって、ウルトラマンの人形を息子に借りてきて一緒に写真を撮っていた。
バウハウスがどんなコンテンツに影響を与えたのかについての展示をしても面白いだろうなあ。
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この衣装で行ったであろう実験的な演劇に参加してみたい。どこかの劇団でやったりはしてないだろうか?
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まだ8時にならないので、他の展示室を見てから、8時に「早朝の歌」を見にいってみた。

あ、白い煙を吐いてる!
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オブジェの一つから、尖った矢のようなオブジェに向かって白い煙が吐き出されている!
人体には害のない煙らしいけれど、何の煙なんだろう。数十秒後にはオブジェがまっ白い煙に包まれた。
目の前が見えないほどになるかと思ったらそうでもない。
でも煙に包まれたオブジェは、まさに無限の空間に浮かんでいるかのよう!
まさにSFの世界!
ときどき点滅する赤い光が宇宙船的なイメージを高めている。
これは本当にずっと眺めていたくなる。
いやあ、1時間待って見た甲斐があった!

イ・ブル展は3月15日まで。見るんだったら煙は見ることをお勧めするので、時間の余裕を持って訪ねよう。

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by matchino | 2015-02-13 20:15 | 展覧会 | Comments(0)

ソウル市立美術館の展示「アフリカ・ナウ」

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前回、ソウル市立美術館に行ったときに時間がなくて見られなかった展示「アフリカ・ナウ」を見てきた。
アフリカの美術ってティンガティンガとか仮面とかしか見てなかったけれど、今回の展示は現代美術。
誰かがブログで「アフリカにも現代美術があったんだ!」とか書いていたけど、当たり前じゃ!
でも、今回見た作品は皆、日本人や韓国人が思い描くアフリカのイメージが土台になっているというのは感じる。
アフリカの作家の作品は皆そうなのか、あるいはそういう作品を集めたのか?

2階の展示室の入り口にあったのがこの作品。
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壁一面に動画が映って、けっこうインパクトがあった。
その横には今回の展示の意義などの説明。やっぱり小難しい話だけど、「脱植民地」ってのがキーワードみたいだ。
動画は色とりどりの毛だらけの衣装を着た人がダンスしているのだが、なかなかかっこいい。
アフリカっぽい感じはするけれど、音楽は欧米のロック風だなあ。
あ、でもロック自体、黒人音楽の影響を受けてるから彼らの音楽と見ていいのか?作家名を見てみると、ニック・ケイヴと。
え!あのロックミュージシャンのニック・ケイヴ?彼は白人じゃん!
ちょっと混乱してしまったが、違う黒人のアーティストだった。




最初の部屋は、黒人の白人に対する対抗意識に関する作品が多かった。
この作家は漫画で白人による差別について言及しているが、「白」と「黒」のイメージについて書いてある。
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で、その記述が辞書からの引用ということで、「このイメージってのは白人によってつくられたものなのか!?」とか疑ってしまう。
実のところ、どうなんだろうか?
白人に対する反抗を表現した作品の作家は、ほとんど南アフリカ共和国の作家だった。
アフリカで殖民支配を受けた経験がある国はほとんどだと思うが、その中でも差別を受けて疎外されたのは南アフリカが顕著だということなのだろうか。
どちらにしろ、私たちはアフリカについてあまりにも知らない。
あれだけ大きな大陸で国もたくさんあるのに、単に「アフリカ」とくくってしまうあたりに違和感を感じざるを得ない。

次の部屋は工芸作品が多かった。
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モザンビークの作家で、実際にあった内戦で使われた兵器の残骸で作った仮面。
よく見るいわゆるアフリカの仮面を思わせる形だ。
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16年間にわたる内戦に対する記憶を表現しているが、内戦が民族の記憶の一つとなっているという悲しい事実…

社会運動として、一般の人に工芸作品をつくることを指導しているグループの作品。カラフルな絵だと思ったら、実はビーズでつくられている。
精巧で、美しい。
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これも社会運動でつくられている陶器の作品。
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アフリカの動植物をモチーフにした壺や皿で、形も色も独特で、ずっと見ていても飽きないほどだ。

3階の展示室の作品。
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ダッチワックスというアフリカの服を着たマネキンが交通事故に遭っている。
…いろいろと書いてあったけれど、難しい…
まあ、手前のオブジェと、後ろの写真作品がすごいインパクトだったという。

難解な作品もあるけれど、面白いのでおススメ。
ソウル市立美術館の2、3階展示室で、2月15日まで開催。

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by matchino | 2015-02-01 20:30 | 展覧会 | Comments(0)