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廃焼却場を利用した美術展「空間の耽溺」展

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韓国のあちこちで、廃墟となった空間の再利用がなされているが、また新しい再利用空間が誕生した。
仁川に近い、京畿道富川市の廃焼却場が文化空間として生まれ変わったという。その第1回のイベントとして、19人の芸術家たちが作品を展示する「空間の耽溺」展が開かれている。
廃墟好き、インスタレーション好きとしては行かずにはいられない展示だ。家から2時間、電車とバスを乗り継いで行ってきた。

富川駅からバスに乗って30分。近くの停留所から歩いていくと、交差点に門が面していて、展示の横断幕が張られていた。
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入ってすぐ事務棟があり、その建物で展示が行われていた。

建物に入るなり、廊下の一面が茶色い紙とテープで覆われている。さらに左側の廊下に入っていくと、廊下全体が紙とテープに覆われていた。
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クリストの建物を覆ってしまうプロジェクを思わせる。内部から覆っているからクリストの反対だな。部屋に入ると、部屋の中にまで紙が入り込んでいた。

そして、部屋の片隅には廃材で作られたオブジェ。
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他の部屋ではスタッフが、一般人対象の参加型プログラムを準備していた。
が、観客は誰もいない。まだ早い時間とはいえ、一人もいないとは…。

さて、地下と2階にも展示があるらしく、まず地下に降りてみた。
地下は薄暗く、映像が再生されているような光が部屋から漏れていた。
階段を降りきったところで、足を踏み外してしまった。
と思ったら、

「あ! 水!」

足を踏み外したところに水たまりがあったようで、靴が濡れてしまった。
子供を前におぶっていたので見えなかったのだが、地下は床一面水浸しで、人一人が通れるくらいの足場が作られている。
雨が入り込んだのかと思ったが、足場を伝って部屋に入って驚いた。
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部屋の奥の一面に映像が投影されていて、下の水にその映像が反射している。部屋が暗いので深い池のようにも見えて、神秘的な雰囲気さえ感じさせる。

地下には3つの部屋があり、そのすべてが水が張ってあった。
隣の部屋には壁に工場の内部の写真が展示されていて、奥には煙突のようなオブジェがあって水蒸気の煙を吐き出している。怪しげな工場のようにも見えるが、森の中の池で不思議な生物に出会ったような感覚もする。
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もう一つの部屋はさらに暗くなっていて、外からの光が差し込む一角があり、その反対側には木で作られたボートと小屋のオブジェが、水の上に浮かぶように置かれている。
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この三つの部屋は4人の作家による展示だが、床に水が張られていることによって作品がより一層引き立つ。これは作家たちが自ら提案したものなんだろうか。ロケーションとも相まって素晴らしい展示だ。
(追記: この水が張ってあるのは、浸水してしまったものをそのまま活用したのだという。そういうことができるセンスって素晴らしい!)

2階の展示も面白かった。
部屋に入ると、部屋の一角には焼却場時代のものらしい機械が置かれていて、部屋の真ん中には天井から下がった水風船。
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機械とオブジェと、広い窓のある部屋の雰囲気との不思議な調和。

2階の他の部屋はまあまあ。
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この建物の向こうにも大きな建物があって、そちらの方に行ってみたが、入り口にシャッターが下りている。スタッフに訊いてみると、積んであった段ボール箱が雨と風で倒れてしまったため、閉鎖したという。
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スタッフは「作品だけ見ますか?」と、裏口に案内してくれた。
大きな倉庫のような空間にいくつかの作品が展示されていた。
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何本かの細長いライトが並んでいる。
これを手で触ると手の熱に反応して光が集まってくる。
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36個のスピーカーが円形に吊るされていて、ときどき「ごおーん」という鐘の音が聞こえる。
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50年代にこの焼却場が建てられてから、産業化がなされてさまざまな出来事が起きてきたが、それらの出来事を旗によって表現したという。緑色の旗がセマウル運動の旗を思わせる。床に置いてある三つの星はサムスン(三星)だという。
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そして最後の作品。
柵があって、その向こうは…虚構⁉︎
…と思うくらいの広い空間が広がっていた。というよりは、天井が高くて下も深い。そして正面には巨大な布が風にゆっくりと揺れている。
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ゴミが最終的に集められる空間だったそうで、この空間だけで圧巻!
布には白い光が投射されて弧を描く。
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隣には、その光の軌跡を合成して月の姿を作った写真作品があった。
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これからどんなイベントが行われていくんだろうか?
家から遠くて行くのは大変だが、また来てみたい。

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by matchino | 2015-08-09 20:31 | 展覧会 | Comments(0)
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