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レクチャー「看板に見る近代ソウル風景」

文化駅ソウル284(旧ソウル駅舎)で連続で行われている近代文化の講座。
前回は看板研究家のクァク・ミョンヒ氏を招いて「看板に見る近代ソウル風景」というテーマで講義、討論が行われた。


韓国の看板の歴史についての講義と、これからの看板の行方について熱い討論が行われた。

韓国で看板が本格的に使われだしたのは、日本植民地時代で、「看板(간판)」という言葉も日本から来た言葉なんだという。

講義をしてくれたクァク氏は、日本での滞在経験も長く、今はニューヨークで活動しているというが、現代韓国の雑多で画一的な看板文化を批判しながら、アメリカや日本のようにデザイン的にも視認性にもよく考えられた看板をかける文化をつくらなければならないと主張していた。


韓国の近代史の中で看板は2回の受難期を経ている。1回目が解放直後の日本の看板の廃止、そして2回目がハングル使用の奨励による漢字の看板の廃止の時期だ。

このような政策によって中国の文化大革命にも似た受難を経ることで、よい看板が一掃されてしまったのだという。

しかし、周りからの迫害に屈することなく古い看板を守り抜いた人もいるという。そのような人たちによって文化は守られていくのだろう。


もう一つ、初めて聞いた話は、韓国には看板に関する法律(条例かな?)があって、ハングルを必ず入れなければならないのだという。

英語で書かれた看板の端に小さくハングルで表記されているのは、読めない人に対する配慮でもなんでもなかったんだ!

これは「ハングルを守るためにはハングルを使うようにしないと!」と主張する人たちによる偽善的な政策なんだそうだ。

こういう人たちは文化を守るのではなく、かえって壊してしまうのだという、クァク氏の主張にとても共感した。


韓国の近代を語る時に日本を抜いて語ることはできない。もちろん、現在と未来においても日本との関係なしには語れない。
その中で日本人として耳の痛い話がたくさんあるのは確かだ。

でも、今回の講義は日本の看板に対する研究の深さや、看板のデザインの優秀さなど、日本人としての自尊心を高めてくれるものだった。

韓国での昔の写真を紹介しながら、洋品店のレトロっぽいフォントを「こういう漢字のフォントデザインはこの頃の韓国にはありえなかった」とか、仁丹の看板を見せながら「美しいデザインだ」といったり、それに対して参加者たちも異論を唱える人はいなかった。


講義の最後に紹介されていた柳宗理の言葉がとても共感したので紹介しよう。

「健全なモノは健全な社会に宿る」

これを少し意訳して「よいデザインは安定した社会によってつくられる」と紹介していた。

韓国は今まで経済的にも政治的にも安定していなかったし、今でも安定しているとは言い難い状態にある。そして、経済だけでなはく、人の心がまだ安定していない状態だ。

しかし、国民の生活が安定してきた今、そしてクァク氏のような人たちが出てきた今、看板の文化はこれからどんどん変わっていくのではないかという希望を感じさせる時間となった。


看板の話を聞いて、実際に韓国の看板がどうなっているのか、もう一度見てみようと思っていたら、ソウル駅前のソウルスクエアビルに巨大な広告がかかっていた。…と思ったら、事務所の電気だ。
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後でニュースを検索してみると、LGが使っている階で行っている「残業しないで早く帰りましょう」という「ハッピートゥギャザー・タイム・キャンペーン」の一環としてやっているらしい。
でも、写真を見ると字の部分以外でも消えてないところがけっこうあるなあ。徹底されてないじゃん!
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by matchino | 2013-11-27 23:46 | Comments(0)
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