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ハイソウル・フェスティバルでの「搬入プロジェクト」

超多忙で上げられなかったが、ハイソウル・フェスティバル2013の話。
今年は10月2日から5日まで行われたが、10月3日は開天節でお休みなので、末っ子を抱っこして出かけた。
プログラムを見て興味を持ったのは、「搬入プロジェクト」という公演。日本の「悪魔のしるし」というチームによるものだそうだ。

ソウル市庁の前に行くと、カクカクと折れ曲がった黒いオブジェが置かれている。
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開始時間になると、このプロジェクトを企画したアーティストの危口氏が説明を始めた。
「ソウル市庁の中に設置するオブジェを間違えて外に作ってしまいました。これを皆さんで力を合わせて中に入れましょう」というのだ。
そして、市庁の入り口の模型とこのオブジェの模型を使って、搬入の方法のブリーフィングを行った。あっちを上げたりこっちを上げたり回転させたりして、なんとか搬入するのだ。
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説明をする建築家の石川卓磨氏。

スタッフの指示に従って、現地のボランティアと見に来た市民みんなで持ち上げてプロジェクト開始。
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まず頭を入れて、ある程度入れたら回転させて、少しずつ動かしていく。言葉で説明するのは簡単だけれど、そう簡単には入らない。
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20分くらいかかってやっとドアを通過した。参加者たちの拍手と歓声が上がる。
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でも、その時、スタッフが「オブジェを置く位置はここではないのでそこまで運びましょう。さっきと同じでは面白くないので、今度は尻尾から出してみましょう」という。

なに! 出すだと⁉︎

そう。今度は市庁の反対側の出入り口から「搬出」するというのだ。
というわけで、建物の中のさまざまな障害物を避けながら、出口の前まで運んだ。

さあ、もう一度挑戦だ、と尻尾を入れた時点で止まってしまった。なんとドアの片方が開かないというのだ。普段使わないドアのため、開かなくなってしまったらしい。
市庁の職員がなんとか開けようとするけれど、なかなか開かない。それで一度解散して30分後に集合することになった。

その休憩時間を使って、日本から来たスタッフにいろいろと聞いてみた。
このプロジェクトを始めたきっかけは、プロジェクトリーダーである危口氏の経験によるものだという。
演劇の演出家である彼は、生活のために工事現場で働いていた。そこで働く人たちが大きな資材を運び、搬入する技術に感動し、そこに面白さを発見したのだという。
それで、同じ大学の卒業生である建築家の石川卓摩氏に呼びかけてこのパフォーマンスを始めたのだという。
皆、これを仕事ではなく趣味でやっているため、このプロジェクトを海外でやるとなると、会社に頭を下げて休暇をもらって来なければならない人もいる。それでもこのプロジェクトが楽しくてやっているようだ。
このオブジェをどのように設計するのかと聞いてみると、1週間前に現地を下見してドアのサイズを測って模型を作り、建築家がオブジェの設計をするのだそうだ。それを木工技術者が現場でベニヤを組み上げるという。
今回のようなハプニングはけっこう起こるものなのかと聞いてみると、しょっちゅういろいろな形で起こるのだという。最初の頃はオブジェが壊れてしまうこともあったという。でも、すべてのハプニングを楽しんでいた。

さて、開かなかったドアの方は、実は30分後に再開しようと解散した5分後に開いていたが、人を探しに行くと皆どこかへ行ってしまっていたので、30分後に再開することになった。
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出す方は入れる時よりもてまどった。入口より狭かったのだろうか。あっちを上げ、回転させてを何度も繰り返して、なんとか出すことに成功した!
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と思ったら、「これが最後の最後です。地下に下ろしましょう」という。子供もぐずり始めたので帰ろうかと思ったけれど、最後まで付き合うことにした。
スタッフが子供たちを集めて、「君たちに重要な任務をやってもらう。階段の下におりて指示を出してくれ」と。最後まで楽しい演出をしてくれる。
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階段を降ろすのもけっこうたいへんだったが、なんとか降ろしてやっと終了。
ふう。見ている方もたいへんだ。
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でも、やっていることはたいへんだし、うまくいかないと怒鳴ってしまいそうな状況になるのではないかと思ったけれど、まったくそのようなことはなかった。スタッフは終始笑顔で、このプロジェクトを楽しんでいる。
終始「楽しむ」というモードでリードしていたので、参加者皆が楽しめるプロジェクトになったのではないだろうか。
また、参加者同士でたいへんなことを一緒に成し遂げたということによる一体感みたいなものが生まれたんではないだろうか。
このプロジェクト、韓国では2回目で、2年前に白南準(ナムジュン・パイク)アートセンターで行ったことがあるという。
そのためだろうか、リーダーの危口氏は簡単な韓国語は知っていて、「オルンチョク(右)! 」とか、「シゲパンデバンヒャン(時計と逆回り)!」とか韓国語で指示したりもして、参加者たちの好感を買っていた。
個人的には日本と韓国両国の人が力を合わせてたいへんなことを成し遂げたというのが嬉しい。
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このオブジェを作った木工担当のスタッフと記念撮影。彼の名前を聞くのを忘れた…。
最初から最後まで笑顔が素晴らしかった。
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by matchino | 2013-10-14 21:53 | イベント | Comments(4)
Commented by tqma at 2013-10-29 23:39 x
現場にいた石川です。
見届けてくださってありがとうございました!
大工の彼の名は河本くんです!
Commented by matchino at 2013-10-29 23:50
わあ!びっくり!訪問ありがとうございます!
こちらこそ、楽しませてもらいました。
河本さんや、皆さんにもよろしくお伝えください!
Commented by きぐち at 2013-10-30 01:35 x
同じく、演出を担当した危口です。
非常に丁寧なレポートと感想を頂き、とても嬉しく思っています。
ありがとうございました!

Commented by matchino at 2013-10-30 11:37
危口さん、コメントありがとうございます!
あれだけたいへんなプロジェクトなんですから、レポートは長くならざるを得ません!笑)
面白いイベント、期待しています。また韓国でもやってくださいね!
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