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ソウルの新名所、尹東柱文学館

ずっと行ってみたかった所がある。鐘路区清雲洞にある尹東柱文学館だ。去年の秋に「the Traveler」という旅行雑誌に紹介されていて、ぜひ訪ねてみたいと思っていた。
尹東柱は韓国で最も人気のある「序詩」という詩を残した詩人で、日本でも人気が高い。日帝時代に詩によって民族の痛みを韓国語で謳い、日本留学中に投獄され、福岡で獄死した。
個人的には尹東柱の詩は「序詩」くらいしか読んだことがなく、それほど思い入れはなかったが、建築に興味を持って、子供と一緒に訪ねてみた。

ここは昔の水道の加圧場で、役割を終えて取り壊されるところを展示館として使おうという提案がなされ、尹東柱詩人の文学館となったもの。
光化門駅からバスに乗って、北岳山を登って行く。「紫霞門・尹東柱詩人の丘」という停留所でバスを降りると、道の向かいに文学館があった。
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小さな展示館だと聞いていたが、本当に小さい。中に入ると展示室は一つしかなく、詩を書いたノートや写真、そして詩人の家の庭にあった井戸が展示されていた。
展示物をじっくりと見ていると、子供たちに案内のおじさんが「スライドを見るかい?」と聞いている。それで一緒にスライドを見ることにした。
黒い鉄のドアを開けると、白い壁に囲まれた小さな中庭だった。もとは水のタンクとして使われていたところで、改修当時は崩れかけた天井があったというが、天井を取り払って中庭に改造した。
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壁にはタンクとした使っていた当時の汚れとはしごの跡がそのまま残っている。上を見上げると、四角く切り取られた冬空と、木が一株。一幅の絵のようだ。
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尹東柱の「自画像」という詩があるが、そこに出てくる井戸のような空間をイメージしてつくったという。それで、この空間は「開かれた井戸」と呼ばれている。

そして、もう一つの重々しい黒い鉄の門を開けると、暗い部屋があった。もう一つのタンクを改造した部屋で、映像の上映室となっていた。こちらは「閉じられた井戸」と呼ばれる部屋。
ひんやりとした冷気が漂い、粗末な木の椅子が並んでいる。案内のおじさんが、「福岡の監獄をイメージした部屋です」と説明してくれた。隣の部屋と同じような梯子の跡がある部分には、天井に窓があって光が漏れている。どんな照明よりもこの部屋にふさわしい、天然の照明だ。この部屋もまた、壁にはやはり、タンクとして使われていた当時の汚れが残っていた。
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尹東柱の一生に関する10分ほどの映像が上映される。上映開始と同時に明かり取りの窓がゆっくりと閉まった。部屋の雰囲気といい、エコーがかかった自然の音響といい、これほどにここの趣旨にふさわしい演出はないのではないか。

韓国の独立のために韓国語で詩を書き続け、祖国の解放のために日本に渡り、解放直前の1945年2月に獄死したという事実は、重々しいものを残しながらも、大義のために自分を捨てるという行為を果たして自分ができるのだろうかという問いを残した。「自分を捨てる」という表現は違うのかもしれない。彼が生きる道というのは、どのような境遇に逢ったとしても祖国のために詩を書くということだったのだから。

この文学館のリモデリングを担当したのは46歳の女性建築家、イ・ソジンさん。この建築は、大韓民国公共建築賞の国務総理賞を受賞した。話題になっている二つのタンクは土の中に埋まっていて、初めはその存在さえ知られていなかったという。設計を終えた時、このタンクが偶然に発見され、設計を一からやり直した。このタンクがなかったらこれほどの話題になる建築とはならなかったのではないだろうか。また、それは担当の区の職員が工期の延長を許さなかったらできなかったことだ。

文学館から出ると、脇には小高い丘に登る階段がある。「尹東柱詩人の丘」と名付けけられた散策路だ。登って行くと先ほどの「開かれた井戸」を上から眺められる。
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また、北岳山やソウルの街並みを眺められる。尹東柱詩人がここを散策しながら何を考えていたのだろうかと思いを巡らせてみる。
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詩人と建築家と、そして鐘路区の担当職員が、時代を越えてコラボレーションをして創り出した幸せな空間だ。今度はぜひ、妻を連れて来たい。

尹東柱文学館について詳しく書かれたブログ。私よりずっとうまい文章だし、感動的なストーリーなので、韓国語ができる人はぜひ読んでみて欲しい。
http://blog.hani.co.kr/bonbon/45048

アクセス:地下鉄5号線光化門駅2番出口を出てすぐの停留所で7212番か1020番バスに乗り、「紫霞門・尹東柱詩人の丘(자하문, 윤동주 시인의 언덕)」下車。
入場料:無料
休館日:月曜日、公休日
開館時間:10時〜18時(11〜3月は17時)まで
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by matchino | 2013-01-20 22:09 | 建築 | Comments(1)
Commented by TVPAD 韓国放送無料視聴 at 2013-01-24 12:03 x
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