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コミュニケーションの可能性を探る「疎通の技術」展

国立現代美術館ソウル分館の説明会で、徳寿宮美術館で行われている「疎通の技術」展の招待券をもらった。それでさっそく見に行ってきた。
個人と個人の人間関係においてだけでなく、個人と社会、国家と国家においてもさまざまなコミュニケーションが行われているが、そこに多くの断絶や誤解が起こっている。
そういった、誰もが願いながらも問題の多い「疎通」をテーマにした作品を、国内外の4人の作家が作品を展示した。

e0160774_1875053.jpg一つひとつが興味深い作品だったが、その中で気に入ったのが、アルジェリア出身の作家、フィリップ・パレノの作品。
天井に金色の風船がびっしりと敷き詰められている。ドーセントが「何に見えますか?」と訊くが、楕円形からブーツがはえているように見えた。説明によると、吹き出しなのだという。いろいろな人たちの、言葉にならない考えを吹き出し型の風船で表現する彼の作品だが、ここ、徳寿宮は王が住んでいたところだということで、金色にしたのだという。
また、その部屋の奥にもう一つの部屋があり、10分ほどのショートムービーが上映されている。
タイのチェンマイに建築家フランソワ・ロッシェが建てたビニルハウスのような建物があり、そこに灯りが点る情景を写したものだが、その灯りは牛の力で発電した電気によるものだという。
なんとものんびりとした風景で、建物に灯りが点っていく姿がなんともいえず美しい。皆、床に座って見ていたが、あまりにも気持ちよくて、眠くなってきた。

e0160774_1881875.jpgもう一つ、興味深かったのが、キューバのホルヘ・パルドという作家による「プルコギ」という作品。韓国の文化に大きな関心を持つ作家が韓国的なデザインを考えてアクセサリーや証明器具をつくったという作品だった。題名が「プルコギ」であることからして外国人から見た、ずれた韓国文化だなという感じがするが、作品はさらに感覚がずれまくっている。
ドーセントの説明によると、アメリカに住む韓国人の生活を見て韓国文化を学んだ立場であるため、韓国文化に対する感覚がずれたのだろうということだったが、「アメリカに住む韓国人的なもの」をつくったのだとしたら、けっこう当たっているのではないかと思う。
とにかく、そのような情報や文化の伝達で生じる「疎通」のエラーというのも興味深いものだ。
展示を見終わって展示室を出ると、今回の展示に関するある言葉が書かれていた。「芸術が絶え間なく疎通について言及するのは、この遂行不可能なミッションが持つ無限の可能性のためである」。
確かにそうだ。芸術に限らず、すべてにおいて、疎通を必要とし、疎通の可能性があるからこそ、それを試みる努力が続けられていくのだ。
大きなテーマであり、つかみどころのないようなテーマでもあるけれど、しっかりとした説得力を持って訴える展覧会だった。
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by matchino | 2011-11-27 18:09 | 展覧会 | Comments(0)
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