培花女子高の近代建築 その1

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会社からの帰り、横断歩道に一枚のポスターが貼ってあった。9月9日、培花女子高で学園祭を行うというのだ。培花女子高には、最近文化財に指定されたレンガ造りの建物があるということを思い出して、「この時しかない!」と思った。なぜかというと、数年前から大学以外の学校は外部の人が入れなくなっているのだ。
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培花女子高はかつて培花学堂と呼ばれ、アメリカのジョセフィン・キャンベル宣教師が1898年に建てた学校。
キャンベル宣教師の足跡には、もう一ヶ所行ったことがある。社稷洞311番地の丘の上に建つ2階建ての洋館がキャンベル宣教師が生活していた家屋だということ。

もっともこの家屋は、この地域の再開発のための組合事務所として使われていて、文化財を残そうとする人たちの意に反して、この家を含むこの一帯をアパート団地にしようとしている人たちなわけだ。

さて、危機に瀕している家屋とは違い、この学校の中の建物はしっかりと保存されている。
門を入ると正面にレンガ造りに瓦屋根の建物が見えた。生活館だ。1916年に宣教師たちの住宅として建てられた。
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地上2階で斜面を利用して半地下がつくられている。西洋式のレンガ造りの構造に、韓屋の瓦屋根が乗っている韓洋折衷様式というのが説明だけれど、瓦は赤いので、中国式じゃないかなと。よくは知らないけれど。
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裏の方へ回ってみると、キャンベル宣教師の胸像。生活館の瓦屋根を背景に、フォトジェニックな空間となっている。
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生活館の写真を撮っていると、隣の白い建物が気になった。モダニズム建築っぽい感じで、レンガでつくったらしい網のような装飾がかっこいい。
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いつ頃建てられたのか気になってみてみると、定礎石があった。1958年12月11日。それだけが分かった。
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さらに気になって調べてみると、なんとか見つかった。現在は図書館として使われているけれど、建てられた当時は大講堂として使われていたらしい。1959年9月に完工し、当時、弘益大の教授だったキム・チャンジプ教授の設計だという。

さて、少し長くなりそうなので、続きは次回!

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# by matchino | 2016-09-15 21:49 | 建築 | Trackback | Comments(0)

秋夕のソウル美術館めぐり

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秋夕の連休、初日は美術館めぐり。
まずはソウル市立美術館へ。
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メディアシティソウルという市立美術館が開催しているビエンナーレの展示がされていた。
チェ・ウラム氏のキネティックアート以外はそれほど気になる作品がなかった。
昔はその作品が意味するところが解らなくても楽しめたのに、最近は楽しめなくなってきたな…。
それよりは、Gana Art Centerから寄贈された作品のコレクション展の絵画がとてもよかった。版画や油絵なのだが、なんだか心が動かされ、ずっと見ていたいような気になる作品。
年をとってきて、好みが変わってきたのかもしれないな。

さて、次は国立現代美術館へ。水曜日は6時から無料観覧なのだ。
前回、見そこねた「テンプル」という題名の船のオブジェ。
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いい感じの空間で、たくさんの人たちが思い思いに過ごしていた。食べたり飲んだりするのが禁止されているかと思ったら、まったくそういうこともなく、とても自由だ。

今回はどんな展示があるのかも知らないで行ったけれど、一つの大きな作品が、ヒュンダイ自動車の提供で行われている、キム・スジャという作家の展示だった。
最初は「心の幾何学(Archive of Mind)」という作品。
観覧者が参加する形の作品で、10人ほどで一緒に入って説明を聞いてから作品をつくる行為に参加する。
広い展示室の中には長さ19mの楕円形の木のテーブルが置かれていて、その上に無数の玉があった。参加者は粘土をもらって、一人1つずつ粘土の球を作るのだ。楕円形のテーブルの周りには36脚の椅子があって、そこに座って粘土の玉を作る。
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最初に言われたのは、椅子を動かさないことと、球形以外の形はつくらないこと。球形を作る作業は、角張った心を丸くしていく修行のような行為で、一人ひとりが自分の作業に集中できるように、椅子の位置を少しずつ離しているのだという。
さっそく粘土をもらって娘二人と一緒に玉を作り始めた。
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簡単なようで、けっこう球形を作るのが難しい。下の娘は手が小さいこともあってうまく作れなかったので、私が仕上げをしてあげた。
参加者たちも黙々と粘土を丸めているため、静かだ。効果音として石が転がるような音が聞こえるのも面白い。
作り終わって、次の部屋には他の作品が展示されていて、映像作品もあった。映像はどこかの国で、何かの植物で敷物を作る過程を映したものだったけれど、先ほど粘土を丸めたからか、「手で何か工芸品を作るっていいなあ」という気がした。
心の修養というか、心が落ち着くというか、自然の材料を使って、手で何かを作るという行為は、心にいいのかもしれない。昔、燃える火を見つめていたら、とても心が落ち着いたことがあるけれど、その時の感覚と似ている。だとすると、陶器を焼くという行為は、土で形を作り、火で焼くということで、心の修養にとてもいいのではないかという気がしてきた。

この作家の作品はこの他にも中庭に展示されていた。四角い中庭の真ん中に鏡のような敷物が敷かれ、その上にストライプの模様が入った長い球形が立っている「演繹的なオブジェ」という作品と、中庭の周りのガラスに虹色の光の筋を見せるフィルムを貼った「呼吸」という作品。
作品の意図は分からないけれど、力を感じる。さらに夕方の外の光の中でとても美しかった。
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出てくると、「テンプル」が月光と照明に照らしだされていた。夜もいいな。
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美術の世界から少し離れて、久しぶりに美術館に行ってみると、より自分の心が行く方向がはっきりとしてきたような気がする面白い一日だった。

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# by matchino | 2016-09-14 23:25 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

若い建築家プログラム「Temp'L」

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これ、なーんだ!

とFBに上げたらいろんな回答が帰ってきた。

巨大マトリョーシカ!
巨神兵の頭!
天狗の頭を下から見たとこ!
竪穴式住居!
ガンギエイ!

想像力豊かなおともだちのご意見は尊重させていただこう。^ ^

で、正解は廃船。
(言わんでも分かるって?スミマセン…)
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廃船は廃船でも、これは国立現代美術館ソウル館の庭に設置された作品。
「若い建築家プログラム」というプロジェクトで、MoMAから始まって、2年前から韓国でも国立現代美術館で行っている。韓国では今まで「神仙遊び」という雲を象った作品や、「屋根の感覚」という巨大なすだれをつくった作品などが展示されたが、今回は廃船を再利用した「Temp'L」という作品。
Temp'L とは、テンポラリーとテンプルを合わせた造語で、新しい瞑想のための空間をつくったという。
廃船を再利用して美術館の庭に組み立て、都市の中の休息空間とした作品。
でも仕事に帰りに行ってみたら、フェンスが張ってあって、中に入れない。美術館の開館時間にしか近寄れないようになっているらしい。また来ないとだな。
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説明に「レディメイド作品」とある。なるほど、レディメイド。と考えていたら、デュシャンの「泉」に形が似てるかなとか。
ちなみに、一番上の写真を妻に見せたら「なんか形がエッチな感じ」と。何に見えたんだろうか…?

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# by matchino | 2016-07-10 17:33 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

ソウル駅春の散策 その2

「ソウル駅春の散策」の続き。
スタンプラリーが終わってもう一度、塩川(ヨムチョン)橋に戻って出発した。
今回のガイドは、「ソウル散策」という社団法人の方。建築を専攻して、町づくりの事業をしているらしい。

今回のコースは、塩川橋の靴屋通り − 薬峴聖堂 − 孫基禎体育公園 – 国立劇場
まず、塩川橋のたもとにある手製靴通りについて話してくれた。ここに手製靴の店ができたのは、日本統治時代のこと。ソウル駅の裏に物流倉庫があって、そこから流れてきた皮の端切れでここに靴市場ができたのが始まりだという。けれど、ネットで調べてみると、米軍のブーツを修繕することから始まったとか。何が本当なんだ…?
ソウルの手製靴通りとして有名な聖水洞は、ここが狭くなって移った人たちがつくった町だとのこと。全盛期にはここに地方から観光バスで商人たちがやってきて、靴を買っていったという。
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そして、実際に靴屋に入って話を聞いてみた。一階は店で、地下には工房があるということで見せてくださった。もう何十年も使っているだろうミシンがいい感じ。ミシンは日本製か?
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次に訪ねたのは薬峴(ヤッキョン)聖堂。明堂聖堂よりも早く建てられた、ソウルで最初の西洋式教会建築だったが、1992年、放火により全焼。現在のものは、以前のそのままに再現されたもの。でも、「昔のもののほうがもっと美しかった」と語る人が多いという。って、どういうこと⁉︎
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この辺りは坂が多い。ベビーカーを押してだとたいへん…。
聖堂から少し降りて、また登ったところにあるのが孫基禎(ソン・キジョン)体育公園。1936年、ベルリンオリンピックでマラソンで金メダルをとったけれど、日本統治時代だったために日本の選手として記録が残っている孫基禎選手を記念してつくられた公園。孫基禎記念館としてレンガ造りの建物が残っており、これは孫基禎選手が通った学校の建物だったという。
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この建物の脇には大きな木が植わっているが、孫選手がオリンピックで月桂冠の代わりに受けたオークの苗を植えて大樹となったもの。
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孫基禎体育公園から丘を下り、昔は西武駅と呼ばれたソウル駅の裏側の方にやってくる。このあたりもけっこう古い家屋が残っていて、ソウル駅の表側とは大きく違いがある。再開発がなされていないのは、この辺りにキムサ(国軍機務司令部)の輸送隊があり、この周辺の建物の高さ制限がされていたためだという。キムサ輸送隊は情報を収集・分析する役割をしたために外から監視ができないようにしたと説明してくれたけれど、輸送隊が情報を管轄ってどういうと?まあ、キムサ自体が泣く子も黙る恐ろしい機関だということなので、キムサだけでも充分か?
1981年から30年間、キムサとして使われていたが、移転してからは国立劇場として使われている。キムサで使っていた建物をそのまま残して赤く塗っている。中も見学してもいいということだったが、公演中ということで入れず。
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私が気になったのは、ここが日本統治時代にどんな場所だったのかということ。訊いてみると、工場が集まった地域だったとのこと。

最後にもう一ヶ所、ケミスーパーを訪ねる予定だったけれど、スーパーの主人が手製靴通りのイベントに遊びに行ってしまったということで訪問できなかった。事前に連絡しておいたのに忘れていたようだ。なんかこういうゆるさがいい。
というわけで、約1時間の散策は終了。なかなか楽しかったし、また来てみたい所がたくさんあった。
「いつもは散策プログラムを有料でやってるんですけどねー」というガイドさん。これから本格的に散策プログラムを始めるということなので期待してみよう。


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# by matchino | 2016-05-03 22:38 | 街歩き | Trackback | Comments(0)

ソウル駅春の散策 その1

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ソウル駅の上空をかすめる高架道路が、道路としての役割を終えて歩行者のための公園として生まれ変わる。
2017年にはヴィニー・マースという造園建築家のリニューアル案に従って、樹木公園になるそうだ。
今、その工事中でそれに関連した様々なイベントが行われているが、「ソウル駅春の散策」というイベントが行われるということで参加してきた。

今回のイベントの舞台は、ソウル駅から近い塩川橋(ヨムチョンギョ)という橋のたもとにある手製靴通り(韓国では「手製靴」というが、日本語では何だろう?オーダーメイドの靴屋?普通に靴屋通りといったらいいか?)。

ソウル駅を出て、文化駅ソウル284(旧ソウル駅舎)の前を通ってしばらく行くと、線路の上を渡る橋がある。これが塩川橋。橋を渡りきった辺りには古い建物が並んでいた。これが手製靴通りの建物群だった。
橋の歩道はけっこう広くてイベントをするにはもってこい。テントを張るスペースはなくても机とパラソルを置いて案内所にしていた。
橋を渡ったところには手製靴通り。靴が店頭にずらりと並び、ショーウィンドウがある昔ながらの靴屋が並んでいていい味を出している。
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申し込んだ街歩きが始まるまでに時間があったので、スタンプラリーに参加してみた。
スタンプラリー、その場所に行きさえすればいいのかと思ったら、各チェックポイントでミッションが与えられた。
まず最初のチェックポイントは手製靴通りの前。与えられたミッションは、どこでもいいので店に入ってサイズを測ってもらうこと。
ここで驚いたのが、店のおじさんが親切に測ってくれたこと。今まで参加した町おこしイベントでは住民がそんなに協力的でなかったりしたけれど、ここはまったく違った。このイベントが町おこしに貢献しているという意識があるんだろう。
実際、今回来ていた人たちは、オーダーメイドで靴を作ることに関心を持っていた。知り合いの一人は靴を作ってきたという。クッションがよくて自分の足に合った靴が6万ウォンだったらいい買い物なんじゃないだろうか。
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さて、次のチェックポイントでは、空き地になっているところの塀にソウル駅周辺の昔の写真が掛けられていた。その写真の感想を書いて壁に貼るのがミッション。軽くクリアw
最後のチェックポイントでのミッションはミニテスト。塩川橋周辺の歴史に関する6問の問題に答えた。私は5問正解!
というわけで、ミッションコンプリート!

ミッション完了の報酬は、「ソウル散策」特製ダイアリー。後からじっくり見てみると、このダイアリー、なかなかいい。シンプルなデザインで、月に一つずつ、ソウルの街歩きによい地域のイラストマップがついている。あんまり実用的な地図ではないけれど、アイデアはいいな、と。
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今回のイベントのミッション、地域に関連して、参加者に地域のことを覚えさせる面白いミッションが多かったな。

スタンプラリーを大急ぎで終えて、いよいよ街歩きに出発。
長くなったので、続きは次回に!

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# by matchino | 2016-04-30 19:53 | 旅行 | Trackback | Comments(0)